ここに書かれているのは、主に十代後半~三十代の主人公たちの、繊細な心情です。
日常の忙しさと不器用さゆえに破れた恋。患者とヘルパーの間から気持ちが一歩近づく瞬間。十代の失恋。両親の離婚に傷ついた少女の心。仲間との感性の違いに悩むバンドマンと、作家の対話。
――身近で、どこかに居そうな人々ばかりです。それだけに、丁寧につづられた言葉ひとつひとつが胸に迫り、「ほろ苦い、切ない」を通り越して痛みを覚えるほどでした。
カフェタイム(休憩時間)に拝読しました。
コーヒーや紅茶もよいですが、作者さまご自身が書かれている、The BeatlesやBUMP OF CHICKENのBGMとともに読むと、いっそう雰囲気が増してよいかと思います。
一話一話を大切に読みたくなる、透明な短編集です。