寿司を食べに来た。
ベームズ
たまたま遭遇した二人……
「……寿司か?」
「おう、寿司食いたい。」
ということで、寿司屋へやってきた二人、
二人がやって来たのは、たまたま近所にあった一皿100円の、回転寿司屋である。
「……なんか久しぶりだな、寿司なんて……いつもなら家で一人、インスタント食品や近所のスーパーで買った惣菜ばっか食ってたし。」
「俺も似たようなものだわ……俺なんて、寿司どころか、外食自体久しぶりだわ……中でも特に寿司屋って、なんか一人だと入りにくいんだよなー」
「わかる!なんか壁を感じるんだよな?なんというかこう……そう!お一人様お断り‼︎みたいな?」
「だよなー、こーゆー”たまたま友人と遭遇した時のノリ”とかでしかこれないんだよなー」
「……で?何頼む?やっぱ最初は”うどん”だよな?」
「お?お前も最初に頼むのはうどん派か?」
「おう!最初にうどん食べると、なんか違うんだよなー」
「なー、」
「じゃあ……次に頼むのは……?」
「……茶碗蒸し‼︎」
パァァァァン‼︎
と、店内中に、やかましいくらいの二人がハイタッチした音が響く。
二人の近くの席に座っていた、家族連れやらの客たちが、急に起きた大きな音に、「何事か⁉︎」といった視線を向ける。
……が、二人は微塵も気にした様子はない。
そして、自分達が周りの視線を集めついることにすら気づくことなく、
「まさか次は?……」
唐揚げ‼︎
と、これまたうるさいくらいの、二人の声が、店内に響く。
周りの席の客達は皆、嫌そーな顔で二人がいる席に視線を向けるが、
二人の知るところではない。
「……ハァ〜うまかったなー」
「でもなんか忘れてないか?」
「え〜?もう十分食ったろ?うどんに茶碗蒸しに唐揚げに……」
「牛丼にラーメンに……」
「……おい⁉︎ちょっと待て?……俺ら、今日何屋に来たんだっけ?」
「……あっ……」
そこで二人は、自分達がある致命的なミスをしたことに気づく。
「……俺ら、寿司屋に来て……」
「……寿司食ってねぇ……」
寿司を食べに来た。 ベームズ @kanntory
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