究極の寿司

坂本ヒツジ

第1話 究極の寿司

「おやっさん、卵焼きの握りお願い」


「はいよ、お待ち」


お、出てきた。

これがこの店自慢の卵焼きの握り寿司か。


見た目は普通だな。


ぱく、モグモグモグ。


お、うまい。

なんという美味しさだ!


まるで……。そう、オーケストラを聞いているみたいだ。


卵は有精卵を使っている。

無農薬で育てたあの有名な、"タマゴでござる"に違いない。


甘みはサトウではなく……、えーこれは、メープルシロップか。

これはおどろかされる!


自然な甘さでくどくない。

まさか、あの、"メイプルプルプル"なのか!


酒も入っているな。

あの幻のお酒、"あっち向けほい"を使っているぞ!


それに出汁だ!

この上品さは、まるで貴婦人。


これは日高昆布の"ワカメじゃないよ昆布だよ"と、

高知の一本釣りから作られたかつお節、"節々が痛いかつお節"だ!


さらに、シャリだ。

コメは最高級とされている秋田の"本当に乙女です、たぶん"を使っているぞ。


最後に海苔だ。


この海苔はなんと!

あの一枚一枚手作りされている"湿気ているけど美味しいよ"だ。


「おやっさん、美味しかったよ。まさに究極の寿司だね」


「ありがとうございます。


ちなみにお客さん、その使った醤油の名前は、


“そんなの、本当に使っている訳ないよ”


なんだよね」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

究極の寿司 坂本ヒツジ @usasasuke

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ