後書き
最後までお読みくださりありがとうございます。
この拙作の参考にした作品が、押見修造の『ぼくは麻里のなか』(2012年~2016年、漫画アクション)です。漫画はふだん読まないし、買わないのですが、「試し読み」という機能を使って、一部読んでみました。少し古典になると、西森博之の『天使な小生意気』(1995年~2003年、週刊少年サンデー)という漫画もそれに当たるようです。これらの漫画に共通するのは、事情があって男の子だと思い込んでいるけれど、実は最初から女の子だったということです。悪く言えば騙すということだけれど、読者をミスリードさせる面白い引っ掛けだと思います。本当に理由もなく異性になるなんて嫌だと思うし、SF的なことよりも実際に起こりそうなので、元々女の子だったという設定にしました。
影響を受けた作品は、柚子レモンさんの『俺が聖女で、奴が勇者で』(開始2016年~完結2018年、小説家になろう)です。少々ネタバレになりますが、ご容赦ください。教会から勇者に選ばれた主人公のクリスは、謎の美少女レーテと体が入れ替わります。クリスはただの「ぽんこつ美少女」になり、クリスの体になったレーテは偽の「勇者」として活動します。物語の中盤で、クリスの前世が聖女のアンジェリカであり、二人が同じ魂だということが分かります。アンジェリカの意思を受け入れたクリスは、彼女の趣向などの影響を受けるようになります。
魂(心)が同じだから、①友紀が元々女の子だったことを説明しやすくなるし、②一見、「とものり」と「ゆき」という別々の人格があるように見えるけれど、人の心が多面的だからそのように見えたんだという解釈も生まれました。
主人公が女の子になっていい思い(楽しむシーンは、あまりなかったですが……)をしたり、ヒヤヒヤしたりといったことは、実は表面的な心の動きなのではと思います。私はそれよりももっと深い心の表れ(周囲に合わせる
入れ替わり物が面白そうだけれど、性別が変わるお話は、この作品だけになるかと思います。けれども、続編が出る可能性は否定しません。
では、どこかでお会いしましょう。
一瀬裕希
「わたし」の心を尋ねて - a journey of self-discover - 一瀬裕希 @So-syoku_20
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