僕の彼女は寿司が好き。

@nyan831

僕の彼女の話。

僕の彼女は完璧な女性だ。身長は170cm、スレンダーで小尻、肌は透き通るように白くてそれに巨乳。直接きいたことはないけれど、少なくともDはあるね。鼻はすっと高くて目は少しつり目気味。唇は薄くて、愛用している明るいピンクの口紅がよく似合っている。緩くウェーブのかかった肩ほどまでの茶髪からは、甘く控えめな苺の香りがほんのりと匂う。街中で見かけたら誰もが振り向くような、お手本のような美人。おまけに料理上手で優しくて、言葉遣いまで美しいんだ。

アニメオタクで世間一般にいうブサイク、根暗で皮肉屋、体重は最近三桁に乗ってしまったような僕が、何故そんな女性と付き合えたのか。その理由は、彼女の性癖にある。

彼女は寿司に興奮するらしい。単純に食べ物として寿司が好きなのではなく、寿司に性的興奮を覚えるんだそうだ。僕は彼女からこの話をされた際には、その意味が全く分からなかった。彼女の家で初めて寿司の出前を取ったとき、やっと理解したよ。彼女は一貫を口に含むたびに、まるで僕と身体を交えているときのような艶かしくていやらしい声をあげるんだ。頬を真っ赤に染め上げながら、咀嚼するたびにわざとらしく音をたてながら、味がなくなるんじゃないかってくらい口の中で小さな寿司を転がしつくして、最後には名残惜しそうにゆっくりとそれを飲み込む少し前まで海を泳いでいたであろう魚達が、先ほど寿司職人の手に力強く握られたであろう米達が、今こうして自分の口の中を動き回り、喉を通り、腹を満たしているという事実が、彼女にはたまらないのだという。

彼女は男性と交際するとき、決まって初めにこの性癖を打ち明けるらしい。すると大抵の男性は彼女の元を去って行くんだって。まあ僕には彼らの気がしれないけどね、この程度のことでこんな高嶺の花を手放すなんて。だって、日本人はみんな寿司が大好きなんだろう?彼女も、その一人なだけさ。

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