寿司って何ですか。
猿の退化系
寿を司りし者
「ふう今日も寿司行くか。」
私はそうひとりごちいつもの寿司屋に向かう。
そこは近未来的な装飾が施され、『いかにも寿司屋』といった店構えである。あぁ、想像しただけで脳汁が出る。
「マスター、今やってる?」
「おお、君かちょうど新作が出来たところだよ。」
マスターは毎日毎日新たな『寿司』を製造している。根っからの寿司職人というやつだ。実は私の憧れである。
いつものカウンター席に腰を下ろし、あとはマスターに任せるだけだ。脳に五つのプラグを接続される。すると脳内に『寿司』が流れ込んでくる。電子と肉体の融合。生命のビート。脳が真の快楽に酔いしれているのを感じる。やっぱりこれが『寿司』だよな。
すると向こう側の席で喚き散らしている人がいる。『寿司』くらい静かに楽しませろ。
「こんなものは寿司じゃあない!寿司ってのはなあ。『酢飯をにぎって、その上に魚・貝の肉などの具をのせたもの。主に生魚を用いる。ーwikipediaより引用』だ。これはなんなんだ。寿司屋に来たと思ったら脳味噌にプラグ差し込まれて、トレパネーションでも始める気か?!」
彼はこの店のシステムが心底気に食わんらしい。嫌なら来るなよ・・・。
だが幼少期に一度聞いたことがある。この地域では生の動物を食すことを禁じているが、他の地域では普通に食っているとかなんとか。
『寿司』が生の動物を使っているだって?何を言っているんだ。
『寿司』とはこの世にある至高の娯楽であり、食とは何のつながりもない。そもそも「寿を司る」と書いて『寿司』だ。字面からもう食とは関係ないだろ。食っていうのは「性欲」「睡眠欲」に並ぶ三大欲求だ。「寿」というよりむしろ賤しさの権化と言ってもいい。そこから一切きらびやかな雰囲気は感じ取れない。
あー最悪だ。『寿司』の最中に食事のこと考えさせんなよ。気分が悪い。
しかし『寿司』は今もなお脳に流れ込んできている。
うむ。やはり『寿司』は最高だ。
寿司って何ですか。 猿の退化系 @horkio118
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