「しめにはうどん」「しめにはうどん」「しめにはうどん」この言葉がやたらと印象に残った。おもしろい小説にはおもしろい言葉がある。おださく賞第三次はすごい。でもそれを書かれるとフィルターかかってうまく読めない。まあ私が未熟なのですが。おもしろく、かなしい作品。
不思議な話でした。すごく静かで、本当に淡々と物語が進んでいく。どこでどうなるのか?ヲチってどうなるのか?とかこちらがすごく想像したんですが、なんたか想像して方向性にはいかず、本当によくわからないけど、最後まで一気に読まされたんです。読後も不思議。不思議なんだけどリアル。いや、面白かったんだと思います。ただ、すごく不思議。
淡々とした日常風景の描写と思いきや、前触れ無く入り込む、非日常の風景。夢を見ているような、幻想の世界を、丁寧な文章表現で描いてゆきます。不思議な世界観です。つげ義春の漫画のよう、といったら、いいのでしょうか。とてもすばらしい文学短編だな、と感じました。
初め読んだとき、佐藤さとる氏のコロポックルが頭に浮かんだ。よくよく考えてみればわけのわからないことのはずなのに、その不思議がするりと中へ入ってくる。児童文学的なニュアンスを全面に感じた。余韻を残した終わり方もいいアクセントになっているだろう。欲を言えば、1/4程度の文字数で細かく切ると、なお読みやすくなるかもしれない。
カクヨムでも使われる「すこしふしぎ」という形容の物語――で、いいと思うのだけれど。でも、「あり得ない話」なので、やっぱり「かなりふしぎ」でもある、そんな手触りのお話です。寓話、とでも呼ぶべきの。そんな不思議な空間が、精緻な文体で描かれるのが本作。淡々と、山場らしい山場も抑揚もなく、(↑これはホメ言葉です)静かに進んでいく。主人公と青田さんのありようも含め、その静かさがとてもいい。とても、とてもいい。