泉の女神殺人事件

碌星らせん

泉の女神殺人事件①

「昨日17時。泉の女神が自宅にて遺体で発見された。遺体は死後数日が経過。聖なる泉の水による損傷が激しく、正確な死亡時刻の推定は不可能とのことだ」

「まぁ、泉の女神ですからね……」

「検屍の結果、遺体には大型の刃物によると思われる割傷が二箇所あり、これが死因と判断された。恐らくは斧のような武器によるものだろう」

「質問です、第一発見者は?」

「森の女神だそうだ。被害者に最近会わないことを不思議に思い、家を訪問したところ遺体を発見したらしい」

「凶器の行方は?」

「自宅から斧が発見されている」

「じゃあ、その斧の指紋を調べれば……」

「斧には一人分の指紋が付着していた。泉の近くの森で働く、木こりのものだ」

「なら、木こりが犯人で決まりじゃないですか!」

「そう単純なら、良かったんだがな……」


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(木こりの証言)

「ええ、はい……その日は、いつもと同じように木を切っていました」

「斧、ですか?確かに斧を使っていましたが……」

「この斧は、これを何処から?」

「えぇ、確かに自分のもんですが」

「やっとりません!泉の女神様殺すなんざとんでもねぇ!」


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「……と、犯行を否認している。決め手は、斧からルミノール反応が検出されなかったことだ。女神の自宅にあった斧は、木こりの持ち物だが犯行に使われたものではない」

「つまり、誰かが斧をすり替えて、木こりに罪を着せようとしたんですかね……?」

「わからん……しかし、あの木こり。何か隠している、という感じだったな……」

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泉の女神殺人事件 碌星らせん @dddrill

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