警視長ガリのつけ場記録

未旅kay(みたび けー)

警視長ガリのつけ場記録

夜の寿司の街を騒がしくあかね色に染めるパトカーの赤色灯せきしょくとうが事件の騒がしさを物語る。


騒がしい野次馬を抑えるが為に道路を塞ぐ警察達もヘリからの無数のサーチライトが集中するビルの一点に興味津々だ。


一台のパトカーから貫禄のある一人の刑事デカがメガホンで叫ぶ。


「怪盗ラックス!お前は完全に完璧に全方角包囲されている!」


寿市すしを長年騒がす大怪盗ラックスと火花を散らし戦ってきた生まれながらの刑事、ガリ警視長とのバトルが終焉を迎えようとしていた。


「警視長!ガリさんと共に現場に出られる日が来るなんて、私、感激です!」


「まだ、油断するのはまだ早いぞ、玉子たまこ!」


新人の抜けきれていない部下の玉子警察官が初々しくガリ警視長に敬礼する。


寿市に七つしか無いと言われる宝石イクラだけを狙う怪盗ラックスが五つ目のイクラを盗もうとしていた。


「お前らシャリだけになっても包囲網を崩すんじゃねーぞ!」


黒いのりで顔を隠した女が哄笑こうしょうしながらビルの壁を歩いてくる。


「あーーははっ、ガリ警部!今は警視長だったかしら?あなたも私も鮮度が落ちたんだから引退したらどうなのかしら?」


「俺は怪盗ラックス!お前を捕まえる為なら何度でも現場に出てやる!」


力強く拳を握って高らかと持ち上げる。


「じゃあ、これで、おあいそにしましょう!」


怪盗ラックスがガリ警視長に盗んだイクラを投げつける。


空中で紅にイクラが輝いた。


ガリがイクラを手にした時、怪盗ラックスもガリ警視長目の前に着地した。


刹那、空中のヘリが高度をギリギリまで下げると大爆発を起こした。


一瞬で地上の警察達を炎が包んだ。


怪盗ラックスがのりの隙間からニコリと笑う。


「炙りサーモンになっちゃったわ。イクラは元は私の物みたいなものじゃない?」


「すまない、俺はガリだ。炙られても問題ないんだ」


感慨深くガリは優しく、彼女に手錠をかけた。


知っていたとラックスも笑った。


隣にいたはずの玉子は宝石と姿を消していた。



次回、峰すじこ登場!







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警視長ガリのつけ場記録 未旅kay(みたび けー) @keiron

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