恐怖!八回生とその同類達

ゆるして

第1話

私が物語を書く時は気持ちの整理やストレスの発散をしたい時だ。

そもそも大学生になるまでにここまでかというほど勉強に勉強を積み重ねてやっとこさ入った大学では、また勉強に課題提出にテスト、ついでに勉強と1年前の浪人時代となんらかわからない生活でしかなかった。

そんな中、下宿先の部屋は特に下の部屋が騒がしく私のやる気と勉強時間を着々と削っていった。

もし下の階の住人の役割が私の妨害であるのであれば、付箋だらけの教科書と赤線だらけのノートを投げ捨てこのような駄文を書きつ慣れているのだから酷く有効的である事を示している。

何故私がこのような生活をしているのか、それはひとえに入学式にある男と出会ってしまったからである。



私の大学デビューは期待と不安と吐き気に支配されていた。

この華やかなキャンパス、踊るように舞い出続けるクラブ勧誘のチラシ、眩しすぎるほどの先人たちの笑顔、私はこれをどれほど自分自身に待たせていたことか。

亀の如く愚鈍な歩みを、けれど着実にと脚をその地面に着け離し着け離しを繰り返し入学式の会場へと向かう。確かにクラブ勧誘の誘惑は冬真夜中で食べるラーメンのように魅力的ではあったが学生としての本分を忘れてはならい。

私はここに来るまでに2年の足踏みはさながらルンバが如く華麗だったのだ、わかりにくいであろうか?浪人の事である。

しかしその2年間に及ぶ超大作の創作ダンスはこの会場への一歩のステップと昇華されステップを刻むその度に私の自信と自覚が芽生えるばかりであった。



入学式は何でもないよくあるような先生方の話しが聞けそれを無視し後ろからコソコソと羽虫のように私語を慎まない生徒の声や誰かしらの貧乏揺すりで摩擦するズボンの音がそこら中から鼓膜を揺さぶった。約2年ぶりの雑音である、私は2年間の間自らの精神とシャープペンシルの芯を削り続けるもはや修行とも言える浪人生活を続けていたわけであるからして修行部屋の外気を吸うことを心の底から待ちわびていたのだ。

入学式が終わりその余韻に肩まで浸かっていると右の席から低く黒板を引っ掻いたような酷い声がその感動を阻害した。

「さて、犬上くん。入学式が終わったからには外に出なければなるまいて、ボクはサークル説明会に出ようと思うが君はどうするかい?」

大上くん。私の名前であり今は懐かしい響きである、学生生活を続けていた時は幾度となく呼ばれた名だが浪人生は部屋にこもり何日に一回か銭湯に湯を浸かりに行く以外には家はおろか部屋にすら出なかった時期があるので上の名を、しかも君付けで呼ばれる事はほとんど無かった。しかしどうだ今は学生である、住所有明無職から学生にランクアップしたのだ。

ハクが違うのだハクが。

しかしながら私は思うところがあった。

「ナゼ、あなたは私の名前を知っているのだ!」

すると眼前の男はよくぞ聞いたかと言わんばかりに目を輝かせ口元が妖怪のようにひび割れた。

「何故か?それは理由は多々あるが面倒なので全て省いて一言だけ。」



 私が神であるからだ。



 全くもって理解できない一言はその時の呆気にとられていた私の身を貫いた。



 この物語は私の何年かにも及ぶ、今まで積み重ねてきた人の尊厳やら学実的地位、もしくは私の人生そのものすらを投げ出し人間失格の烙印を押されるまでの転落人生をこれでもかと誇張し記したものである。

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