彼女が天使を愛す時

『私(天使)を愛すること』
それが王の絶対条件。
告げられたのは、建国以来初めての女王でもあった。しかし、姿を現した天使は少女の姿をしている。

『愛』を要求する天使と、『愛し方』のわからない男勝りの女王。
さらに、女王即位に反対し、暗躍する不穏な影たち。
我儘で奔放な愛され上手。しかし決して嘘は言わない黄金の天使と、生真面目で頑固者、けれど本当は優しい白銀の女王。
煌びやかな彼女らを中心に、この物語の魅力的な登場人物は数え切れない。
堅物執事に、老いた伝説の一番槍、一筋縄ではいかないメイド。
そうして、忘れてはいけないのが白馬を愛娘と言い張ってやまない隣国の王子。
心に残る場面は多々あれど、彼の愛娘が告白されるところは必見です(笑)。
というのはさすがに冗談ですが、この物語には随所に、様々な形の『愛』が散りばめられていると思います。

私は同じシリーズの『人魚を殺して王になれ』から読んだのですが、この話も同じく、タイトル回収のタイミングがお見事としか言いようがありません。

忘れがちな、身近にある『愛』というものを見つめなおせる作品ではないでしょうか。

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