美容室にさよならを告げて

作者 神楽坂いずみ

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★★ Very Good!!

普段は読み専ですが、今回はレビューを書かせて頂きます。
思考に移った所が2つあり、そのどれも工夫の凝らされた良い場面でした。
死なないと生きれないの後で、和明が変わらないと好きで居続けなければならない
という場面はとても良かったです。
これからも和明を忘れられないことへの切な悲しみや少しの絶望感、決まりきったことを告げるような表現がより情緒のあるものにしていました。
個人的な意見ではありますが、隆二がほろりと涙してしまった場面、あれは複数の解釈のできる良い移りでした。
作者様はもしかしたら悲しみが高まって涙するという気持ちを込めていたのかもしれないのですが、
個人的な解釈としては 隆二は涙を流すまいとして髪を切っていたが、中盤に差し掛かって他のことを考える余裕が出てくると、ふとした時に(その思考も含めて)涙が出てきてしまったのではないか
と思いました。
もう本当に来ないのか というのが題名で帰ってきてはっきりと分かるのも良かったです。
何回も読み返して整理するとまとまって帰ってきて心に残るものがありました。
(特に、追いかけられずに和明が来ることのない、もう自分の居場所なのかも分からない店に留まり、涙がふたと落ちるところがありありと想像できました。)
 長文を続けてしまい申し訳ないのですが、和明を抱きしめることが普通は抑えられないのに、最後まで自己中心的にはなれなかった隆二。結婚式にぴったりな 自分好みの最高にかっこいい和明と最後の最後に出会って、もう会うことのない和明となってしまう隆二など、もうこの感情をどう表すべきなのかわからないほどの悲しみがありました。
 もうこの愛は愛ではないのだと現実が訴えてきているような感じがして、それに従順に従う隆二の辛さ、悲しさが感じられました。
ありがとうございました

★★★ Excellent!!!

ありふれた失恋の風景なんだと思う。
男と女ではないから異質な、とは言えない。
異性愛とは違う部分も無論、2人の間にはあっただろう。
でも、彼に髪を切らせる感情は、ごく普通の苦しさと切なさだ。

唐突に別れを告げられて失恋しつつも、まだ会えるはずと、
後ろ暗くて狡い甘えを抱いてしまう「俺」の葛藤が、
短い中に凝縮されて、美しすぎない生身の言葉で描き出される。
失恋すれば、誰だって、どんな恋だって、等しく痛いんだ。

★★★ Excellent!!!

 とてもきれいで、丁寧な所作の描写が好きでした。
 それから、鏡の描写が良かったです。虚像すら愛して、虚像のに何かを求める主人公の心の動きがつぶさに表現されています。
 「髪を切る女=失恋した」という構図はもう使い古されていたと思っていたが、作者が書くとこうも違った一面を見せる。
 是非、御一読ください。

★★★ Excellent!!!


同性愛故の切なさが隆二の心情に表れていて、読み進めていくごとに心が締めつけられるようでした。

和明は何を思って隆二の元を訪れたのか、どういうつもりでアメリカへ発つことを告げたのか……その答えは、最後の和明の涙が教えてくれました。

彼も、きっと鏡に映る隆二を見ていたのかもしれない。
鏡に映る隆二は、どんな顔をしていたのだろう。

考えると、また、苦しくなる。

また、一緒に笑えるときがきてほしい。二人の幸せを、願いたくなる。
そんな、切なくも愛おしいお話でした。