第2章 絶望(終)
午後4時過ぎ、バイトを終えた里美は、少し暑いと感じながら溶けてべとべとになった雪道を歩いていた。
よもぎ野駅から自宅までの半分近くを歩いた頃、拓海くん亜実ちゃんの楽しそうな声が聞こえてきた。
2人は里美に気づき手を振っていた。
そこには立派に完成したお父さん雪だるまとお母さん雪だるまが立っていた。
「す・すごい」
とても子供が作ったとは思えない出来栄えに思わず声がでた。
小走りで2人のそばに向かおうとした時、ふと、空き地に隣接のプラスチック樹脂の加工工場の屋根に降り積もった大量の雪が目にはいる。
危ない!
思ったその時、屋根に積もった雪が崩れた。
真下にはあの子たちが!!
一瞬の出来事だった…
2人はあっという間に大量の水分を含んだ重い重い雪の塊に押しつぶされた。
すぐに緊急連絡で助けを呼び、周りの人たちに声をかけて自らも救助を始めたがあまりの雪の多さに涙がこぼれた。
現場はすぐに大勢の人だかりとなり、テレビ局、もちろん警察車両、救急車でいっぱいになった。
積っているあまりにも大量の落雪、絶望的な悲しみの中、レスキュー隊の懸命な救助作業が続けられていた。
里美を含めた、そこにいたすべての人たちは、希望は捨ててはいなかったものの、あの大量の雪の山を見て最悪の状況を覚悟した。
2時間後、ついに2人が発見された。
やがて、レスキュー隊の中から歓喜の声がいくつも聞こえ、テレビカメラがその様子を映す。
そこには、ちょっと太目の母さん雪だるまと父さん雪だるまにしっかりと守れた、男の子と女の子の元気な姿があった…
《 お し ま い 》
雪だるま アンクロボーグ @ancloborg
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