雪だるま

アンクロボーグ

第1章 兄妹

2日間降り続いた雪もやっと止んだ、土曜日の午前10時。


雲一つない青空の下、人々は、皆、足元を確かめながらゆっくりと歩いている。


首都圏でこれだけのまとまった量の積雪はめずらしい。


里美は、バイト先へ急いでいた。

自宅から、よもぎ野駅までの半分近くを歩いた頃、聞きなれた男の子と女の子の楽しそうな声が聞こえてきた。


プラスチック樹脂加工工場の隣にある空き地で遊ぶ兄妹がいた。


2人は里美に気づき元気いっぱいで駆け寄って来る。


「今からね。おにいちゃんとね。雪だるま作るの!」


「お父さんとお母さんの雪だるまなんだ」


それだけ言って2人は元の所へ戻り、雪だるま作りに没頭した。


あの子達は近くに住む 田代拓海くんと亜実ちゃんの兄妹。

2年前に不幸な交通事故で両親を亡くし、その後は、おじいちゃんおばあちゃんと暮らしている。


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