第2話

話しかけてはいけない。

ずっとそう思って少し離れたところから見ていた


好きになったきっかけなんかわからない

でも、毎日か気付けば彼を目で追いかけていて

恋に落ちるのは簡単だった


「えっと…翔大くん?だよね」


過去を振り返りぼーっとしていたら

目の前には優くんの顔…


顔?優くんの?…え?ぇぇぇええ!?


「わわ!ごめんなさい!邪魔ですよね!」


どうしよう…え、でもなんで僕の名前知ってるんだろ?

んー…考えてもわかんねぇ事考えるな!ってお父さん言ってたし考えるのやめた方が良さそうだなこれ


「ちょ、翔大くん待って…はぁ…はぁ」


「え?うわっ!え、あ…す、すいません」


振り向くと優くんの姿

走って追いかけてきたのか肩で息をしていて


「靴俺履き替えなきゃなのに翔大くん猛ダッシュで逃げるから(笑)」


あ……可愛い…


「よく見に来てくれるよね?友達がさお前声かけてきてやれよ!って言うからなんでだろうって思ってたんだけど…俺のこと、よく見てくれてるよね?」


え…バレて…た?


「たまにすっげぇ視線感じる時あるからさ?最近、その視線先を感じる方見るといつも君が居るから名前とか君の友達に聞いちゃった」


え、どうしよう…


「おーい、翔大くん?」


「……す、すいません…」


「なんで謝んの?」


「え…?」


「別に謝ることはないでしょ(笑)」


はらはらと小さく舞う雪の中

鼻を赤くして、優しく微笑む優くんの姿は

スノードームに閉じこめておきたいくらい優しすぎて

僕の記憶から一生離れてくれない気がして…


その晩、僕は恋文…所謂、ラブレターと言うものを書いた

渡すことはしない、きっと彼に迷惑をかけてしまう

これからこの恋文も月に一度は書くことになるとは知らず…

ただ気持ちを紙に綴った


〝優くんへ

こんな手紙渡しませんが……思いを綴りたいと思っています

まず…好きです…

大好きです。女々しいことしてますが

僕の中であなたは誰よりも可愛くてかっこいいです

輝いています。キラキラとしてて…とても眩しいくらいです…

でも…僕達は実るわけがない…

だから、僕はあなたの幸せを願っています

さよなら…優くん〟


なんか…寂しい文になっちゃったな…

でも、話しかけたのが初日な僕にこんな文渡されても困るわどろうし

もう、会話することもないだろうし

最後くらいいいでしょ!

なんて思ってたのにな…


朝になれば、学校へ行く

学校へ行くと目の前には


「よっ!翔大くんおはよう」


僕に挨拶をしてくれる優くんの姿が


朝からキラッキラの笑顔で片手をあげて

挨拶をしてくる…

目まぐるしい毎日に

少しだけ光が指した気がした


でも、現実はそう甘くはない

挨拶はする、名前も呼び合うようになる

でも、そこから先には進まない

わがままかもしれない

でも、彼のもっとそばに行きたい…

そんな欲が僕にも出てきてしまった

そんな彼に恋して1ヶ月が経った

春が来る少し前の冬の終わりが終わろうとして

暖かい春……桜の季節が近づいてきた

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スノードーム 苺愛 @0059_hikaru

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