蛙は両生類であるため、水と陸を生きる両義性を持つ生き物である。そして、この物語の主人公である蛙は、井の中にはいない。よって、様々な危険に遭遇する。鳥という空と陸の両義性を持つ動物。ナマズという主で、地震を起こすとされるもの。そんな蛙を守るのは、道祖神である。この道祖神も道の神であるため、どこかとどこかをつなぐ仲介者である。両義性はある意味で仲介者の性質を付与する。そのためこの蛙はあらゆる仲介を受ける。 だからこの物語の題名は『書かないカエル』ではなく、『書けないカエル』なのである。 短くも深いこの作品を、是非ご一読ください。
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