あとがき

 3泊4日の入院体験をしました。病名は右尿管結石症。いわゆる尿管に石が詰まって救急車ってやつです。私の場合は救急車で運ばれるような症状になる前に健康診断で結石があることがわかりました。半年間、石の自然排出を促す治療をしましたがその甲斐もなく手術で摘出となった訳です。手術は経尿道的尿管結石砕石術(呼称は様々あり)略称”TUL”と呼ばれるものであり、尿道から内視鏡を入れ、レーザーで結石を砕く手法になります。結石の摘出手術は他にも”ESWL(体外衝撃波結石破砕治療)”や”PNL(経皮的尿管結石除去術)”(共に呼称は様々あり)があり、ESWLは体の外から衝撃波を当てて砕き、PNLは体に小穴を開けて内視鏡による摘出するそうですが、私には適用されませんでした。

 手術に対しては無知なので、私もネットで検索するというこの時代ならでは方法で調べましたが、手術がどういうものであったかの感想を知ることは出来ませんでした。そこでこれから手術を受ける立場、患者の視点で残しておけば少しは不安の解消になるのではないかと筆を執ることにしました。しかしいざ入院してみると入院している高齢者の方々の現状とそこで働く看護師達の苦労を目の当たりにすることになりました。ならばそちらにも焦点を当てて書くべきだと考えた結果、予定よりも長い30,000文字の内容になってしまいました。どうせ書くなら面白おかしく、伝えたいことは明確に。また泌尿器科ならではの葛藤や一人の看護師さんのとったささやかな行動が自分の入院生活を大きく変えてくれたことを交えて綴りました。

 内容に関しては話の流れをわかりやすくするために一部時系列を入れ替えたりしていますが、基本的にノンフィクションです。感想に関しても私個人の感想ですべての方に当てはまるものではありませんので、ご了承頂きたく。

 最後に私のような一患者にも分け隔てなくしっかりケアして頂いた岡崎市民病院の柏木先生、佐竹さんをはじめスタッフの方々および結石がわかるやいなや”流石茶”を差し出してくれたKさんに感謝致します。私自身、微力であっても誰かの心のケアの出来る人間でありたいと思います。


 追伸

 実はまだ私の体には両腎臓に一つずつ小さい”腎臓結石”があります。今回の手術の摘出対象ではなく今後の自然排出を期待するものです。ステント除去後に病棟の看護師さんへ挨拶に行った時に「次回もお待ちしています」と言われましたが、それも悪くないかなと思うのでした。


 平成29年1月27日

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砕石記 ~尿管結石とへんてこおにぎり~ 桂川ててこ丸 @tetekoma

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