第10話4つのエリア

「ラビー。アトラクションのマップみたいな物、あるか?」

 慎士が訊ねると、ラビーは薔薇の生け垣が描かれた戸棚から、折り畳まれたチラシを1枚取り出した。取っ手はちょうの形をしていた。

 それを慎士が広げて皆で覗き込むと、ラビーが解説した。

「この遊園地は4つのエリアに分かれています。まず、入り口に入ってすぐのエリア…ここですね。ここは『ぴょんぴょんストリート』と言います。お子様から大人まで遊びながら通り抜けて頂く為のアスレチック仕様の遊具が多く、動物を擬人化したオブジェや樹木も設置されいます。」

 ラビーが一呼吸区切ると、窓を叩く雨の音が聞こえて来た。

「次のエリアは『ミラクルタウン』です。ミラーハウスやびっくりハウスといった、不思議系アトラクションのエリアです。これもお子様向けですが、大人も童心に還って楽しんで頂けると思います。続きまして、『ガチンココロシアム』エリアです。忍者や西洋の騎士、海賊等にコスプレして頂いて、ウチのアクターと戦って頂きます。ま、ガチンコというのはお子様に対しての表記ですが、アクター達も一応それぞれトレーニングをしてるみたいです。」

 ラビーの説明を聞いた莉奈達は、こんな事態で不謹慎かもしれないけど、早くそれぞれのエリアを見たいと思った。

「一番奥にあるのは『Y&Tワールド』、つまり、yesterday&tomorrowワールドです。世界の遺跡とか建造物等の小さな複製があちこちに設置してあって、他にはショーハウスがあります。一番奥に観覧車がありますが、地表に出てるのは2/3で残りは下をくぐる形です。その地下の部分は水族館になっています。観覧車は地表の右側から乗って、水族館を通って左側に出て頂上まで登り、右側へ下がって出口となります。リーダーの住むお城に行くには、観覧車の下の水族館で降りなければ行く事が出来ません。」

 そこへ、どこからか雑音が聞こえ、誰かが呼びかけてきた。

『ラビー、いるか?』

 ラビーが立ち上がり、壁に付いたてんとう虫型のマスコットの背中を押して返事をした。

「はい、こちらラビー。どうした?」

『ヤバい、敵が来る…二人だ。』

「分かった、直ぐに行く。」

 プチッという音がして通信は切れた様だった。

「私が説明出来るのはここまでです。  リーダーが住んでいるお屋敷は、私は行ったことがありませんので、お屋敷の中のことは分かりません。…それに、仲間が呼んでるので、行きます!」

「よし、俺たちも行こう!」

 今度こそ、4人は立ち上がった。

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CHILDHOOD ISLAND 銘尾 友朗 @meibi-tomolou

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