約束

香澄と並んで道を歩く。

側から見たら、カップルに見えるのだろうか。

まぁ本当は男同士なんだけどさ。

にしても、世の中にはこんなかわいい男がいるんだな。


「ねぇ」


「ん?」


そんなことを考えていると、香澄が声をかけてきた。


「京介君って今度の土曜、空いてる?」


「え、ああ、別に用事はないけど……」


「本当?良かった!僕とさ、買い物に付き合ってくれないかな?」


そう言って、上目遣いでこちらを見てくる香澄。

か、かわいい……

男に抱く感情ではないと思うが、とにかくかわいい。

もうこいつは女の子だと思った方が良さそうだな。


「ああ、いいぞ。土曜な」


「うん、ありがとう!」


満面の笑みで微笑む香澄。

ああ、やばい。今、告白しそうになった。

危なかった。


「あ、そういえば、この近くに美味しいパン屋あるんだ。よかったら行かないか?」


慌てて、話題を変えてみる。


「あ、うん。実は小腹空いてたんだよね……」


「なら、決まりだな」


というわけでおれ達はそのパン屋に向かうことにした。













♦︎















「……」


商店街の一角にあるパン屋に入り、買ったばかりのパンをもしゃもしゃと頬張る。


「あ、このカレーパン美味しい……」


「だろ?有名なカレー屋とのコラボらしいぞ」


横にいる香澄に説明をする。

ちなみにおれはクリームパンを食べている。

その次はチョココロネを食べるつもりだ。

糖分はちゃんと摂らないとな。


「なるほど。だからこんなに美味しいんだ……」

ここのパン屋はテレビでも特集されるくらいの有名店で、中に入るのにも少し並ぶくらいだった。もちろん、その味に並ぶだけの価値はある。


「あー、美味しかった……満足」


パンパンと手についたカスを叩きながら、パンと一緒に買ったアイスコーヒーをすすり、香澄は満足そうな笑みを浮かべた。


「そりゃよかった。帰りに買って帰るか?」


「あー、うん、そうしようかな……」


おれも遥香に買って帰ろうかな。

あいつもおれと同じ甘党だから、甘いやつ中心で買って帰るかな。

それにしても、遥香の許可なく、土曜出かける約束しちゃったけど、大丈夫だよな……?

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ぼっちのおれが幼馴染の美少女とラブコメしている件。 あすか @gantz001

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