伝説にあるような泉のなかに引きずり込まれるような、水中にゆらゆら泳ぐような流ちょうな文体は読んでいてため息が出ます。怖くて美しい。残虐なシーンもあるのですがどこかさっぱりとして非常に読みやすいです。今後の展開が楽しみでなりません。
抑えた調子の語り口調ゆえに、この耽美でおそろしい世界観が読み手に沁み入ってきます。そして終盤の展開! ぜひともたくさんの方に味わって欲しいです。
なんと怪しく美しく残酷な世界観!文語体でつづられながらも流れるような文章は声にだして読みたくなります。「きれい」と「きれい」のあいだに「こわい」が顔をのぞかせて、ぞくっときます。恐怖も薄ら寒さもまた確かに快感なのです。
古代日本らしき世界を舞台にした耽美ホラーです。虹色の水でできた王族や厳しい身分制度、奴隷・・・時代小説とはまた違う独特な世界観を持っていて引き込まれてしまいます。本文そのものが壮大な叙事詩なのかと思う軽やかで美しい文体。残酷ながらも哀愁ただよう世界。愛と死とエロスと死、官能。紫乃と氷雨と艶夜の3人の交錯する結末が気になってしかたありません。