あとがき
1月1日 最終話
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
さて、本日は2018年1月1日『元日』である。
諸君らは元日と元旦の違いについて知っているだろうか。知らぬと言うものは第一話から読み直してくるがよい。
この一年の始まりである記念すべき日に、諸君らは如何お過ごしだろうか。年越しそばを食べ、紅白でも見ながら年を越した人もいれば、仲間と酒を呑みながら過ごした者もいるだろう。そして私の様に、職場で一人むなしく年を越した者もいる事だと思う。
今日と言う日は元日であり、元日とは一年で一番大きな祝日でもある。
だが、それよりも大切な記念日が今日をもって制定された。
本日、2018年1月1日は『諸君らと私が出会って一年の記念日』である。
ちょうど一年前の1月1日。
拙作『ユーチューバーに転職した話する?』を書き終えた直後の私、いずくかけるはものすごい喪失感に苛まれていた。一作品書き上げたものには伝わるだろうが、連載が終わってしまって一番寂しい思いをするのは作者なのである。
なにか新しい連載を始めたいと考えた私は、前々から更新を滞らせる男であった故に、それを改善すべく一日一更新を謳った無謀な企画を始めた。
しかし相変わらず、時に更新を滞らせはしたものの(特に11月12月はひどかった)、なんとか完結に至った今日、私がこの小説で一番言いたかったことを一つ。
日々繰り返される毎日とは、円環ではなく螺旋である。
一年間口を酸っぱくして言い続けたこの言葉。
この言葉の真価が発揮されるのは今日この日である。
つまり、2017年の1月1日は我々にとってただの元日であった。
しかし、2018年の1月1日はちょっと変わってくるという話だ。
去年と今年で違う事。
それは本日が我々が出会って丁度一年の記念日となった事である。
毎日必ず太陽が昇り、そして沈んでいく。
それはどこまでも繰り返し、いつしか我々はそれが永遠に続くと錯覚する。
だが違う。
同じ一日は二度と来ない。
諸君らが過ごす今日と言う一日は、一生の内に一度しか体験できない貴重な記念日であるのだ。
諸君らは元日だからと生活を改めた一日を過ごすかもしれない。だが、元日だけが特別な一日ではなく、すでに諸君らは一年365日になにかしらの記念日が制定されている事を知ったはずだ。
その記念日は先人たちが積み上げた歴史や文化の賜物であったわけだが、新たな記念日は我々、現代を生きる者たちにしか築けぬ者であり、我々はすでにそれに気付いたはずだ。
貴重である特別な一日を、有限である特別な人生を是非とも有意義な時間にして頂きたいと願い、私は最後にこの言葉を諸君らへ贈る。
諸君、今日と言う日に祝福を。
今日は諸君らとの別れの日、特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
今日と言う日に祝福を!! いずくかける @izukukakeru
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