私にとっては「色」がある小説、です。

風によって変わる、瀬戸内独特の潮は、ちょっと藍がかっていて。
照り付ける日差し。からっとした空気は、刺すような光の色でありながらどこか柔らかな色見もあって。
木々の緑のざわめき。
港の人たちの活気。
目に浮かぶ光景に、それぞれの色が鮮やかによみがえります。

ストーリーも気になるけれど、所々に出てくるレモンの白も黄色も、季節を感じる重要なエッセンス。
瀬戸内出身の私は、そう思います。