何処かの広告みたいなタイトルになりましたが、そのままの意味です。表題からは、お硬い軍事小説かと思ってたのですがプロローグから既にライトテイストで『読みやすいかも』と思いつつじっくり読んでいました。そして『読みやすいかも』の評価が『何これ、面白い!』に変わったのは3話か4話辺りでした。
アデランスでアディー……
文章は至って真面目ですよ? お話もコメディじゃないですよ?
しかしこの単語を見た時に私の中で『最後まで読もう!』という意欲が湧いてきました。そこに作者様の遊び心を見つけたからです。
それからも、そんな小さな、しかしクスッと笑える遊び心の描写は沢山ありました。
レビューなので詳しく書けないのは残念です。
登場人物同士の会話もドラマ性が高くて好みでした。
(全然関係無いのに、なぜかドラマのカインとアベルを思い出してしまった)
作品を読むとその作者の性格が解るとよく言いますが、まさにその通りで、硬い題材を扱った小説の中に一粒の清涼剤の如くコミックポイントを織り交ぜる氏の心意気に触れ、ファンになりました。
皆様も表題の雰囲気に『騙されずに』読まれる事をお勧めします。
きっと作品と作者様のファンになることでしょう。
日本の国土を、そして国民を守る自衛隊。
陸海空とある中で、特に航空自衛官――戦闘機パイロットは日夜孤独な戦いをしている。
鋼鉄の翼を纏う彼らは音速に迫るスピードで戦場を駆け、常に秒単位で生死に関わる判断を求められるからだ。
一秒先には敵機が、はたまた自分が『空の藻屑』と消えるかもしれない。
そんな狂気の世界に身を置く彼らも、地上に戻れば普通の悩める青年だった!?
F―15J戦闘機を駆る若きパイロット、稲津2尉こと『イナゾー』は、日々の訓練をこなしながら恋に友情に宴会芸に一生懸命。
彼や彼を取り巻く仲間たちを通して、戦闘機パイロットの現実をコミカルに、時にシリアスに描くヒューマンドラマ小説。
それが『大空へ駆けのぼれ』である。
*
戦闘機パイロットとして新米を脱し、二機編成分隊(エレメント)の隊長錬成訓練へと挑む主人公イナゾーは、後輩と先輩の間に挟まれ、技術的、精神的な苦悩の日々を送っています。
そんな最中にも舞い降りるトラブルの数々と、本番となるスクランブル出撃が、否応なく彼を大空へと駆り立てて行きます。
ミリタリー小説にありがちな、『重い雰囲気』『同調圧力』『戦闘描写のストレス』がなく、終始明るい雰囲気で、スラスラ読み進めていくことができます。
また、作者である島村ミケコさんの実体験や取材を交えた、自衛隊という組織、業務内容、時事イベントの内側を知ることもできるのも魅力のひとつ。
『大空へ駆けのぼれ』オススメの作品です。