自衛官かて人間なんやで!?

日本の国土を、そして国民を守る自衛隊。

陸海空とある中で、特に航空自衛官――戦闘機パイロットは日夜孤独な戦いをしている。

鋼鉄の翼を纏う彼らは音速に迫るスピードで戦場を駆け、常に秒単位で生死に関わる判断を求められるからだ。

一秒先には敵機が、はたまた自分が『空の藻屑』と消えるかもしれない。

そんな狂気の世界に身を置く彼らも、地上に戻れば普通の悩める青年だった!?

F―15J戦闘機を駆る若きパイロット、稲津2尉こと『イナゾー』は、日々の訓練をこなしながら恋に友情に宴会芸に一生懸命。

彼や彼を取り巻く仲間たちを通して、戦闘機パイロットの現実をコミカルに、時にシリアスに描くヒューマンドラマ小説。

それが『大空へ駆けのぼれ』である。

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戦闘機パイロットとして新米を脱し、二機編成分隊(エレメント)の隊長錬成訓練へと挑む主人公イナゾーは、後輩と先輩の間に挟まれ、技術的、精神的な苦悩の日々を送っています。

そんな最中にも舞い降りるトラブルの数々と、本番となるスクランブル出撃が、否応なく彼を大空へと駆り立てて行きます。

ミリタリー小説にありがちな、『重い雰囲気』『同調圧力』『戦闘描写のストレス』がなく、終始明るい雰囲気で、スラスラ読み進めていくことができます。

また、作者である島村ミケコさんの実体験や取材を交えた、自衛隊という組織、業務内容、時事イベントの内側を知ることもできるのも魅力のひとつ。

『大空へ駆けのぼれ』オススメの作品です。

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