第21話まで拝読致しました。
序盤から、迫力ある魔法戦闘が繰り広げられます。
魔術書や空間を扱う高度な魔法もさることながら、読み合いや罠、仕込みも絡んで圧巻です。
現代ファンタジーらしいと言いますか、科学と幻想が入り混じったと言いますか。魔法関連の設定の奥深さも随所から感じ取れました。
そしてそれをすんなり解説する文章力もあり、「今どういう状態か分からない」といったこともありませんでした。
個人的に特筆したいのは、ズバリ詠唱のかっこよさです。
現実世界の専門用語やカタカナ語を魔法に組み込んだ形式でも、とにかくセンスが良いです。
魔法の詠唱を格好よく書くのって、すごく難しいんですよね。
陳腐になり過ぎず厨二になり過ぎすぎず、その塩梅がとても難しい。ちょっとでも塩梅が崩れると、途端に見てられなくなる要素ですので。
現代ファンタジーで魔法の設定を出す時は、是非とも参考にさせて頂きたい作品です。
祖母の遺品である一冊の本を献本する為に仙台を訪れた少女、終野澄香は突如として魔術で渦巻く奇怪で悍ましい世界にその身を投じることとなる。
仙台の都心に本拠地を置く超現実的な機関、魔法管理機構『ウィッチシーカー』と、そこに攻勢を仕掛ける死んだ筈の祖母、終野黒枝。変わり果てた人生を最も謎に満ちた存在である澄香はどう歩んでいくのか。果たして最後に逢着するのは如何なる”終の住処”なのか──。
軽快でシニカルな筆致で描かれる、複雑で重厚な世界観。疾走感に溢れ、カタルシスを嫌と言うほど感じる戦闘描写。現実の仙台を知る人ほど、ある種この都市にアンマッチで、だからこそ奥深い世界に酔いしれることが出来るだろう。