第3話 まずは準備を

 冒険者登録を済ませたはいいものの、まず何をしたらいいのだろう。

 メインスキルには剣、サブスキルには簡易魔法を選択しておいた。剣スキルは片手剣と両手剣の両方に対応しているから助かった。どっちが向いてるのかわからないしな。

 簡易魔法ってのは、効果が小さいものの、回復だけでなく攻撃魔法も使えるらしい。これならギリギリ一人でやっていけるほどだろう。パーティーメンバーはその内募集しておくか。

「これでクエストは請け…られないな。武器買ってないの忘れてたわ」

 危ないな。武器なしでクエストなんてアホなことやってられないっつの。

 武器屋はギルド横の商店街に幾つか並んでいる。入店。俺に合うものはあるかどうか、だ。現在の所持金は25000ペリ。ペリとはこの世界の通貨であり、いろんな商品をみる限り1ペリ1円であろう。 

 この鉄剣が一番安くて15000ペリか。最初の武器としては扱いやすいだろう。でも攻撃力などはあまり高くないのだろうか。そうこう悩んでいると、

「よぉタツヤ。ひさしぶりだなぁ!ここに来たってことはついに冒険者になったのか?」と声をかけられる。想定外。

「…えっ、まあそうなんだが…」

えーっとこの人は店主か?見た目からして鍛冶屋だ。というかなんで俺のこと知ってんだ?…深く考えるのはやめとこう。

「おお、やっぱりか。俺ぁこの日を待ってたんだよ!そうだ、新作の剣が一本あるからやるよ。代はいらねぇ」今サラッと凄いこと言ったような?剣をくれるとか…しかも無料。

なにかいい人そうな気がしたので、こっちもそれっぽく応じるとしよう。

「まじか!いいのか?」

「おうよ、ちぃと待ってろ」と言い残して裏へ消えてしまった。

 なんてことだ。こんなん誰が予想できるかよ。話についていけそうにない。こっちからすりゃ初めて話す人なのにああまで親しくされたしな。ほんとわからん。

__数分後。

「待たせてすまんな。これがその剣だよ。」なんというか、細身で少し長めの剣という感じだ。

「これが、か?どこられんが新作なんだよ」と問うてみる。

「そう、そこなんだよ。実はな、お得意先から礼として魔銀ってのをもらってな。なんとこの金属は、魔力を蓄えたり放出したりできるんだよ。すげえだろ?」

「つまりは、どういうことだよ」

「魔銀を剣に使うことで、自分の魔力を力に上乗せして放出するって寸法さ。魔力だけじゃなくて魔法も可能らしいから、うってつけのはずだぞ」と力説してくれた。とりあえず、凄いのだろう。

「なるほどなぁでもそれって結構なやつだろ?本当にいいのか?」

「いいってことよ。気にすんな!そのかわり、使い心地やらの感想を教えてくれよ?」

「わかった。ありがとよ」

 店主は嬉しそうに「んじゃ、これを」といって例の剣を俺に渡した。

「ありがとな。また来るぜ」

「待ってるぞー」最後までフレンドリーな店主に別れを告げて、退室。

背負ってみると、案外軽いことがわかる。これで武器を手に入れることができた。やっとだクエストに行ける。なるべく易しいものにしておこう。



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目覚めれば異世界 八輪 @Hachirin-80

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