エピローグ

FINAL

 シビュレンジャー達との戦いから、約1ヶ月が経過した。

 

 「さて、行くか」


 矢口修二は、今日もまた他のメンバーが待つ魔法界へとワープした。ワープした先には桜野友菜ことチェリーブロッサムが待っており、二人は合流すると他のザウレンジャー達が待つ広場へと向かった。



 シビュレンジャーが起こした漣市空中浮遊事件は、魔法界と戦隊協会の連帯活動によって無事解決した。

 地上に戻された漣市は魔法によって破壊された家屋の修理や、怪我をした人間の治療。そして、機密保持を目的に「記憶を捜査する魔法」が施された。

 それにより漣市民は「市内で巨大な不発弾が発見されたため、安全のために市民の全員が市外に退去した」とされている。シビュレンジャー6人は回収され、今後は魔法界の役に立つよう調整されるようだ。

 幸い死者は一人も出ず、魔法のおかげで人々は何も知ることなく普段通りの生活に戻れたので一安心……というわけにはいかず、捕らえていたドリームホワイトとブラックサレナを独断で逃がしたザウレンジャーとチェリーブロッサムもそれ相応の罰を受けることになった。

 6人の引退の話も出ていたらしいのだが、まだ新人で右も左もわからない状況で騒動に巻き込まれた彼らには同情も多く集まった。

 またドリームホワイトとブラックサレナが


 「脱走の手引きは自分たちが指示した。彼らは無関係」


 と証言したことも手伝って、1ヶ月の活動停止のみで、それ以上は追及されなかった。

 当のドリームホワイトとブラックサレナの脱走とクーデター未遂の審議も行われた。二人は引退を申告し、多くがそれに賛成する中、レッドバットはそれに反対した。


 「自分たちが悪いことをしたという自覚があるのなら、自分たちの働きを持って示せ」


 とはいえ無罪放免というわけにもいかず、彼らもまた活動停止になった。

 

 さらに、この戦いの遠因である「戦隊・魔法少女登録管理法」については、一旦凍結となった。これからは節度をもつようにと厳しく言われたが、戦隊と魔法少女はこれからも自由な活動が認められた。

 しかし「撤回」ではなく凍結であるため、必要と判断された場合はいつでも発動できるという事も忘れてはならない。


 活動停止中、修二と友菜、そしてどこで知ったのか、修二の家を訪ねて来た賢次、一成、佑磨、由香の6人はこれからの自分たちの活動について何度も話し合いを重ねた。戦隊と魔法少女で有り続ける以上何をすべきなのか、何をしてはいけないのか。無い事を祈りたいがまたこのような大きな争いに巻き込まれた時、自分たちはどう行動すべきなのか。

 

 そう言った話し合いを続けた結果、彼らは一つの結論を出した。


 「妥協すべきところは妥協する。しかし譲れないところは絶対に譲るな。自分の考えを持て」


 戦隊と魔法少女が二つの勢力に分かれる中、彼らはどちらかと争うことなく大敵を倒すという自分の意思を持って行動し、他の協力もあってだが目的を成し遂げた事は高く評価された。きっと彼らはこれからもそうする事だろう。


 「よう、やっとリーダーのご到着か」

 「今日から活動再開だね。まあ、リラックスしていこうよ」

 「僕たちの再スタートだ。気を引き締めて!」

 「チェリーちゃんもよ」


 四人が口々に言う中、ザウレッドに変身した修二は頷いて、チェリーブロッサムと一緒に椅子に座った。


 「俺達、久しぶりの活動になるけど、その、何て言うか……」


 みんながリーダーの言葉を期待して待っている。ザウレッドはしどろもどろになりながら、何とか言葉にした。


 「その、どんな時でも、チームであって、自分たちの信じた道を進もう」

 「修ちゃんそれ復帰早々に言う事じゃないと思うけど」

 「やっぱり?そっかあ、そうだろうなあ……」

 「今はもう戦いの時じゃないんだぜ?まあ、大事なことではあるけどな」

 「自分たちの信じた道を行く、か。簡単には出来ないことだけど、大事な事ではあるよね」

 「そ、そうだろ?それを視野に入れて言ったんだよ。うんうん」


 その時、近くのモニターに緊急通信が入った。

 

 「……高速道路で玉突き事故だって!」

 「私たちにも出動が要請されてるわね」

 「ようし、復帰後初仕事だ。みんな行こう!」

 



 その日、大事故のあった高速道路には6人の人間が名乗りを上げていた


 「紅の牙、ザウレッド!」

 「黒き闘魂、ザウルブラック!」

 「青い稲妻、ザウルブルー!」

 「黄色い剣閃、ザウルイエロー!」

 「桃色の弾丸、ザウルピンク!」


 「強龍戦隊ザウレンジャー!」


 「チェリーブロッサム!」


 彼らを始めとした数十人の人間がレスキュー隊よりも先に救助にあたり、大勢の人間たちが救われる事となった。

 救助された人間はほぼ全員その事を後で忘れてしまうが、インターネット上には次のようなタイトルで写真が投稿されていた。


 「戦隊と魔法少女、再び目撃!人命救助に貢献!」






 いつまでも、どこまでも6人は一つ。

 

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魔法少女VSスーパー戦隊 大地 @planet9517

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