第5話 就職できた? ギルドでもできませんでした(泣き目)

「では、行きましょうか」


「は、はい」


ギルドでも職を得られなかったせいか、どこか名残なごり惜しそうな声で返事をする。

その一方で彼女は、これまでと同様に明るくゆうに接している。

ギルドを出て少しばかり時間がつころには、多くの人手ににぎわう商店街らしきところを歩いていた。

歩いている途中多くの人の目線が彼女に集まっていた。

どうやら、異世界の中でも彼女はとびぬけた美人であることがわかる。


「分からないことや知りたいことがあれば遠慮しないで言ってくださいね」


「はい、ありがとうございます」


これは、裕にとってはとても心強い発言だった。

今の裕では、その辺にいる子供よりもこの世界の知識がないからだ。


「一ついいですか?」


「どうぞ」


「この街、いや、この国って何て名前なんですか?」


彼女はギルド内で裕に向けていた不思議そうな眼差しを送った。

まあ、ギルド内でも”わからない”と答えていたので、驚いたとかではなさそうだ。


「この国の名前はケニオスです。商業が盛んなことで有名ですよ」


このような感じで裕は彼女に質問を繰り返した。

しかし、彼女は嫌な顔一つせずに丁寧に答えてくれた。

実にいい子だ。

彼女に質問していくうちに、だんだんとこの世界の国について理解していくことができた。


1 この世界にはかなりの数の国があること。

2 国の国土面積は、大陸レベルから村レベルまでいろいろあること

3 一部を除き主に貴族が国を治めていること

4 中にはつい先日まで戦争状態になっている国もあること


このようなことを説明してもらった次の瞬間、


「ヒヒィーーーン」


と、馬が鳴く声がした。

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ニートでオタクな俺が国王にグレードアップした件 ヒロノムス @hironomusu

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