純真無垢に育てられた修道女のルナリアは、「悪魔」ラグナスと巡礼に旅立ちます。
不殺生を貫くルナリアと、悪魔とも言える力を持つラグナスの組み合わせが面白いです。本作の戦闘シーンは、巨大ロボ物にカテゴライズされるべきもので、戦慄を覚えるような熱さがあるのですが、同時に対話シーンでもあるのです。
キャラごとに異なる価値や世界観がぶつかる場所で戦闘が起きる……だからでしょうか、単純な力の衝突ではなくて、文章にどこか暖かさみたいな物を感じます。
旅の過程での出会いが、衝突に始まり、対話、理解に進む様子に好感が持てました。
ルナリアとラグナス、ふたりの旅の先にあるものが何なのか、続きが気になります。
修道女の少女ルナリアと、悪魔ラグナスの二人旅。
物語の芯に
異なる価値観の持ち主と出会って、
対話することがあると感じました。
様々な人と出会い、価値観の違いに驚き、
戸惑い、怒り、己の信ずるところを説く、
そうした豊かな心の動きと
交わされる会話が面白い。
まっとうな常識人ながらも世間知らずのルナリア。
悪魔と呼ばれながらも人の世をよく知るラグナス。
メインキャラクターの2人も
全く異なる価値観の持ち主で
そのかけあいが面白く
ルナリアの知識の不足を補い世話を焼く
ラグナスの姿はなんとも微笑ましいです。
オリジナルのファンタジー世界が舞台であり
この世界の仕組みなどは最初ほとんどわからず
それは狭い地域で育ったルナリアもほぼ同じです。
旅を通じてそれが見えてくるのも
読み進める上の楽しみになります。
あなたも、
ルナリアとラグナスと一緒に
この世界を旅する気分で
読んでみてはいかがでしょうか。
本作でメインになっているのは、無垢な少女と悪魔という対比的な組み合わせです。
一見すると対極にいるかのような二人は、しかし、旅を通して互いの中に通じるものを見つけていくのかも知れません。より深く理解していくのかも知れません。
旅という展開を通して、この二人の変遷が描かれていくのが楽しみな作品でもあります。
不穏な外界の空気を感じつつも、温かい愛の中で育った少女。彼女はある夜――――
という序盤の展開が、『悪魔』や『ファンタジー』『旅』といった要素に無理なく噛み合っているから、なおの事でしょう。
詠唱、魔法陣、剣の打ち合いといったファンタジーお決まりの要素が飛び交う戦闘シーンも格好いい!
前作、旅機人とは一味異なる旅の物語。オススメです!