光のオノマトペ

藤滝莉多

「今年のふさふさ」

 小説をちゃんと描き始めて、一年と二ヶ月がたちました。

 今年の物書きとしてのふさふさは、アイテムや魔法の細かい説明をするお話が大好きだったことに気が付いた、でした。


 私は、ファンタジーでいう「星の結晶」とか「バラについた夜露」とか言う不思議なアイテム名を掘り下げるのが大好きなんです。色々な想像ができるその名前、でも取り上げてくれることは少ない。なので、無意識的に「そういうのは本編で触れちゃいけないもの」みたいに思っちゃってたんですよ。でも気が付いた、ハッ、やっていいんだ。

 それがどうやってできるかの生成過程や、それの細かい効果、見た目、どうしてその不思議な力を持っているのか。こういうのを、若干科学チックに説明するのが好きなんです。強いていうなら、魔法とか霊力とかでも理論をきちんと組み立てたいみたいな。そんな理論とか、大層なものではないけれども……。とにかく適当や不思議、で済ませるのではなく、理論が好きなのです。そういうのが大好きで、それを遺憾なく発揮しているのが、というかそのために作った話が〈風鈴の帆〉。ジャンルはファンタジー商品説明です。あれは夜の市場、という素敵な企画に参加した時に作ったもので、縛りは「夜の市場という所で、夜にしか取り扱えない商品を取り扱うお話」だけ。そのため、外国の童話の世界のようなきらきらした世界観にした人もいれば、私のように日本の縁日みたいな世界観にした人と様々。うちで出した店は(私が投稿した物語は)、本当に店を出すような気持ちで出しました。目次が商品一覧になってほしい、中身がその概要欄みたいな。それを表現したいためだけに作ったと言っても過言では全く無いです。

 かくして、私の日本の縁日、夏の夜が好き! 商品説明が好き! という好みが融合して、〈風鈴の帆〉という、川に船を浮かべて、そこでお店をやっているお話ができたのでした。

 そこをいくと、世界観やアイテムを掘り下げるのは〈風鈴の帆〉が掘り下げ一番で、次にアヤタカという魔法学校のお話が、魔法の理論とか魔法道具、精霊体という生物の掘り下げ半分、普通にストーリー半分。一番そういう要素がなくストーリー中心なのが、醜い歌姫というお話です。醜い歌姫は、こちらも企画で参加したやつで、体がぴっかぴっか光る人たちの地下世界のお話です。

 いきなり知らない単語(タイトル)がいっぱい出て来たって人は、ごめんなさい。


 アイテム名うんたらですが、アイテム名は何でもいいわけではなくて、こだわりがあるんです。どういうこだわりかって、例えば「太陽の笑顔」ってアイテムがあるとするじゃないですか。(本当にあったらマジでごめんなさい)

 あるとしたら、私、幼稚園から小学生くらいの頃、このような名称に、絶対虫唾が走ったと思います。

 今どこに虫唾が走ったって、こういうことなんです。

 「太陽が笑うってなんだよ、笑わねえだろ。適当ぶっこいてんじゃねえよナメてんのか」

 というキレ方をしていたんです。……いやあ、クソガキでごめんなさい。今はもうそんな風に噛み付いたりしていません。大人ですから!

 私、小さい頃の方がよっっぽど頭が固かったんです。許してやってください! それでそこに、納得できる説明か隠語的な意味合いがあれば、手のひらを返していました。それとか夜のとばりみたいに、夜の暗闇をとばりに例えるっていう慣用句的な由来があるならこんな風に噛み付きませんでした。

 だから当時の私の不満をまとめると、こうなのです。

・太陽を当然のように、人か動物みたいに扱っているところ

・どうして人や動物のように扱ったのか、または、そうする必要があるのか、の説明がないこと

・ついでに聞きたいのが太陽が生物になるってことは知能があるんでしょ? 知能を司る部分はどこ? どうやって生命を維持してるの? 消化器官的な役割は? てか太陽って何光年も遠くない? 笑ってるか見えるの? その辺は?? 位置関係は?

・そもそも「太陽の笑顔」のアイテムって、アイテムってことは実像があるの? どうやって実像に変えたの? それともそれは概念なの? 概念をどうやってアイテムにしたかが知りたいのに

 ……ということだったのです。マジギレだったのです。

 でも、説明の無いのが嫌だったのか、というとそうでもないんです。説明がなくても、納得できる物には噛み付きませんでした。上記した「バラについた夜露」とか……。絶対実在する、なんか実在しそう、なアイテムについては、説明があったらテンションだだ上がるってくらいで、無くてもキレたりはしませんでした。そして実在しそうなラインを攻める系のアイテムは大大大好きでした。

 きっと、単純に非根拠的なのが許せなかったのです。(そんな言葉ないです)ファンタジー丸出しでいくならせめて納得いく説明を聞かせろ、みたいな。理論的に説明できるファンタジーって、それはファンタジーと呼べるのでしょうか。

 なお、何度も言いますがこれは子ども時代の私の思考であり、今現在の私の思考ではありません。そんな風に心の中で誰かの作品に噛み付いたりしていません。

 歌とかで、「太陽も笑うよ〜ルルル〜〜♪」とかの歌詞は絶対あると思うのですが、あの辺はどう対処していたのでしょう。でも子ども用の歌を聞いてられなかった思い出が微妙にあるので、たぶんそんな感じなのでしょう。この場を借りて、本当にごめんなさい。

 比喩表現を知らんのかって、子どもながら、自分でもそう思っていました。「表現だろ!」みたいな……。自分の心が貧しいだけだとも心の奥底で分かっていたので、その怒りを当時告白してはいませんでした。それと、ここまで言語化できていなかったので……。

 すみません、最後はもう子ども時代の話になっていたのですが、私のルーツの話だよ、と思ってあげてください!

 まとめると、「今年のふさふさは、アイテムや魔法の細かい説明をするお話が大好きだったことに気が付いた」です! 長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。最後までブラバせずに見てくださったあなた、友達になってやってください。ほんじゃま!

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光のオノマトペ 藤滝莉多 @snow_bell

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