死
白川津 中々
第1話
噛み締められた唇から血が流れ、口内には鉄の味が広がっていた。
鬱屈とした感情は自身に向ける他なく、自然と手が首筋に伸び脈打つ血管を締める。衝動的な発作は自己嫌悪しか生まず、暗転する意識の中で絶望と辛苦にまみれ自身の命に憎しみと呪詛を刻んだ。
悲しみに暮れ、黄昏を眺める。陽が輝き僕を照らす。沈みゆく光にタナトスを覗き、望む。斜陽に自身を重ね死という救いを懇願するのだ。
自らを殺す、自らの意志。思い描く私の死体は醜く醜態を晒し、決して完結しない芸術の様であった。
死してなお私は悩むだろう。死してなお私は苦しむだろう。死してなお、私は死を望むだろう。絶たれた希望は十字架となり私の背に張り付き、無常なる重責となって生を憎むのだ。
私は自らを呪う。自らをとりまく世界を呪う。影に怯え、闇に恐怖し、それらを抱きしめ、私は、私は望むのだ。私自身の滅亡を!
されど死には至らない。生は苦しみ世は地獄。私は今、堪え難き命の炎の熱量に苦しみもがいている。いつか訪れる死を望み僕は、息を吐き続ける他ないのだ!
死 白川津 中々 @taka1212384
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