天才 水瀬愁 の憂鬱
穏やかな休日…—
「詩春ちんは高校慣れた〜?」
「うん!お友達がいて楽しいよ」
暖かな陽射しが差し込む昼…—
「詩春は部活入ったのか?」
「ううん。お家のこともあるから…」
の筈が……何でこうなってる。
「詩春ちゃんたまに学校で会うよね」
「あ、図書館で会いますね!」
翼の発言に、俺は耳を疑う。
「翼、俺は聞いてないぞ」
「…言う必要ないかな、って」
そして翼の顔に迫ると、そっぽを向いて両手を前に出してきた。
「詩春ちんと同じ高校行けば良かったー」
「本当にそれ」
「お前ら、どこの高校行ったんだ?」
ふと疑問に思ったことをぶつけると、
「ん?
「ちなみに俺と汐音の二人は特待生で入ったんだよね」
本当に「人は見かけによらない」とはこのことだろう。汐音と玖音はこんな風に見えて非常に頭が良い。
そして、俺の耳はとうとうおかしくなったのだろうか?
「星月って…俺のところと姉妹校じゃねぇか」
「オレも初めて聞いたけど隣の高校だったら会えるだろ?」
「「 …… 」」
俺と翼の発言に二人で顔を見合わせている双子。
「確かに隣接はしてるけど繋がりなんてなくない〜?」
「姉妹校ってどんなことがあるの?」
珍しく真面目に聞いてくる双子に、俺は自分の知っている姉妹校との関連を教えた。
「なんだ〜。じゃあ詩春ちんにはいつでも会えるってことか」
「文化祭で会えること楽しみにしてる」
そう言って詩春に抱きつく双子ども。
「離れろ。むしろソファーから降りてカーペットの上に座ってろ」
——ガッ
頭を掴んで引き離すと、そのままソファーから引きずり落とした。
「愁ってば横暴〜」
そう言いながら舌を出して挑発する汐音。
「てめぇ……」
「まぁまぁ、落ち着いてよ…。愁お父さん」
次は玖音が俺にお茶を差し出す。
「……もういい。疲れた」
コイツらには何言ってもしょうがない、とソファーに深く座り込む。
「それで、本気で今日は何しに来たんだよ」
そう問えば、
「幼馴染に会いたくなって…」
玖音が穏やかに笑った。
「………玖音」
俺も穏やかに笑うと、
——ピンポーン ピンポーン
家のチャイムが鳴った。
「またお客さんかな?」
詩春が立ち上がろうとすると、玄関の扉が開く音と、続けてうるさい声が聞こえてきた。
「おっじゃましまーす!
みんなー、遅れてごめんなー」
何故……。
「あ〜、
さっきの良いムードはどこへいったのか、詩春もみんな玄関に向かってしまった。
占いはどこまで当たるんだ…?
夢恋の恋に出逢う ~another story~ くるみ @yume_koi
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