この娘、国家第一の僕《ぼく》

その一人称のいじましさ、
矜持と緊張に張り詰めた人格、
服の奥に隠された身体。
そして、やがて至る審判の時。
「お前、女だったのか……」

男装系僕っ娘とはなんと美しくドラマチックなのでありましょうか。

えー、キモい出だしと為りました。作者様に顔向けができません。
舞台は異世界のとある王国。王女ユリアは政治上の都合で王子ユリウスとして生きることを強いられます。王道です。

王族とはままならないものとは言え、望まぬ性を押し付けられる彼女の心境は察するにあまりあります。窮屈な日々に鬱屈としながらも凛々しく振る舞い続けるユリウスは、まさに王にも劣らぬ国家の僕《しもべ》と言えましょう。いや、可愛いから一番です。

さて、物語はまだまだ始まったばかり。目的も知らされぬままとある集落を訪れたユリウスは、そこで自警団の少年少女に出会います。出会ったばかりの刺々しさは今後の彼女たちの冒険を期待させます。

隠し事ありありな姉や怪しげな執事など、きな臭さもムンムン。目が離せないドラマ作りで、今後が楽しみで仕方ありません!