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億千の言葉が散っていく。
さらさらと色付いた言の葉が散っていく。
楽しかったこと、哀しかったこと、わたくしの胸いっぱい、それから、わたくしでないこと。
ずっと幸せを想いつづけてきました。
飲み干された紅茶を前に、幸せについて想いつづけてきました。
ようやくケーキも食べつくして、長く永いモラトリアムの終わりがやってきました。
滅びに幸あれかし。
そんな祈りも意味を失って。
さんざめく亡霊の水面に揺られ揺られた、あかさたな。
「紅茶」も「ケーキ」も消えさった彼岸にて。
やがて「ハッピーエンド」も無情の波に攫われて、最後に残るのは「バッドエンド」になるでしょう。
だって、そうでしょう。どんな物語も留保なく素晴しいもので、ましてや人類なんて鴻大な物語が終わってしまったなんて、そんな理不尽を幸せと評せるはずがない。
たぶん、そんなことは計算するまでもなかった、当たり前のこと。
それでも誰しも憧れて、広大な宇宙にロケットまで打ち上げても届かなかった「ハッピーエンド」。
そういったものに、ごくごく私的なわたくしは、本当のピリオドまで寄りそっていたい。
もし許されるなら。
わたくしが、わたくし自身の滅びを評価するなんて、そんなことが許されるなら。
添いとげた幸せへの片想い、それこそが幸せだったのでしょう。ね.
「わたくしの一生を賭けて、あなたの幸せを計算してみせて?」 夢霧もろは @moroha
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