第3話大森駅開業がもたらしたまちの発展

 新橋〜横浜間の鉄道開通の4年後、1876(明治9)年6月12日、大森駅が開業した。東海道線の電車線である京浜東北線が開業した後も、1930(昭和5)年まで、東海道線の全列車が大森駅に停車していた。

 日本最初の鉄道建設は、日本考古学史上に残る発見をもたらした。大森貝塚の発見である。横浜から鉄道に乗車したアメリカ人考古学者・モース博士は、大森駅付近を走行している車窓から大量の貝殻が露出しているのを見つけた。これは、鉄道建設によって斜面が削られ、古い地層があらわになったことによる。「大森貝塚」の名は、モース博士が発掘調査の際に大森駅を利用したことから、その駅名をとって名付けられたという説がある。

 また、交通が至便なこともあり、大森駅周辺は東京近郊の郊外住宅街としての開発が進んだ。大正時代後期から昭和初期にかけては、多くの文人たちも馬込に移り住み、「馬込文士村」が形成された。

 1984(昭和59)年には現在の駅舎とホテルができた大森駅。さらに、国際化の進む羽田空港へのアクセス拠点ともなり、駅東口には、企業やホテルの立地も進んでいる。

 そして、先月12日、大森駅開業140周年を迎え、大森駅改札前のコンコースの一角で歴史写真館と題した大森地区の昔の写真が展示された。これから、10年、20年、30年。駅とまちはどのように変化していくことだろう。まちの姿は変わろうとも、今のように駅に集う人の光景はきっと変わらないことだろう。

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大森駅開業140周年~日本初の鉄道、大森を走る~ @oomori-cafe_kurakata

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