ただ祈りを捧げる少女に見惚れた悪魔は影ながら献身的に彼女を守り続ける。だが、彼女には悪魔の想いは届くはずもなく。さあ、歌おう。どうか、この哀しき悪魔に安らぎを。
この作品は『善』の話であり、同時に『偽善』の話でもあります。少女の『善』ややがて『偽善』へとかわりますが、一方でならば『悪魔』の『善』は『偽善』ではないのか?そして、何よりも少女をたたえる者と、そして少女を迎え入れた王は『善』なのか『偽善』なのか?……議論はいくらでも出来そうですが、一番の『偽善』はこの話を読み終わって自分の答を誰かに押しつけることなのかもしれません。
さて、このお話を読んで振り返る、『最も愚かなのは誰なのか』正解はない。いや、一つではないと言った方がいいだろう。理想と現実、正義と悪、それらは人や時代によって変わる。それをわかりやすく説いたのが、このお話なのではないか。子供たちに読ませて、議論させたい物語だなと思った。
たった一人の笑顔の為に戦い続けた悪魔の物語です。皮肉な話ですが、悪魔さんは最後まで男前でした。