はぁでん
海還ったうんやんは再びバラバラになった。バラバラになって新しい旅路を続けた。それは見方によっては長い旅だったかもしれんけど、意外と短い期間じゃった。うんやんの身体はバラバラになり、再びお魚さん達に食べられてあちこちに散らばった。或いはその一部はしぶきと共に再び浜辺やら岸壁に打ち上げられて、蜆とか牡蠣の中に居候したんや。
その日の夕方、浜辺ではバーベキューが開かれておった。ようある光景よ、都会から来た若い兄ちゃんやら姉ちゃんが、ビールやら何やら飲みながら、ウェイウェイやってバカ騒ぎしよるんよ。まぁ、ええじゃないですか。海ですもの、彼等にとっても故郷なんよここは。肉とかソーセージとか、野菜もたくさん買い込んで、酔っぱらったチャラ男達が、海から色んなもん拾ってきてのぅ、貝類もあったし、魚を釣ってきたやつもおった。
「一緒に焼いてくおうぜぇ~。」
ちゃんと火を通さんかったんじゃろうねぇ。うんやんがいよいよ人間道に回帰する時が来たんよ。六道を巡って、下水から海に、海から色々な動物の身体を経て、遂に人間の身体に帰る日が来たんじゃ。
「あぁ^~」
魚の身だったり、貝の煮汁とかに混じっていたうんやんは、チャラい兄ちゃんやら姉ちゃんにおいしく食べられましたんじゃ。あいつら美味い美味い言うてのぅ、そりゃもう夏の思い出を腹いっぱい堪能した、言う感じで、うんやんを美味しく食べてしもうたんじゃ。
「いやぁ、すまんのぅ。今回はワシ、ノアの箱舟に乗っとるんよ。」
ノアの箱舟?
うんやんはほらみてみぃ、とばかりに、微粒子レベルにまで小さくなった自分の身体の周囲を指さした。うんやんの手はしっかりとノロ先輩のヌクレオカプシドに繋がれとって、うんやんはノロ先輩の一部になっておったんじゃ。
それから2日くらいしてかのう・・・。
うんやんは再び人間のうんことして現世に転生したんじゃ。
「はーっはっは、まーだ出るでぇ!?今日のうんやん、しつこいけぇのぅ~!!」
ノロ先輩によって沢山に増殖したうんやんは、今度はげろやんにもなってしもうた。げろやんとうんやんは早熟か晩成かの違いしかないけぇ、いうなれば若かりし日のうんやんはげろやんって事になるのぅ。
チャラい兄ちゃんもギャルのねぇちゃんも、はぁでんはぁでん許してくれや!と懇願したけど、うんやんに失礼な事を言うた罰じゃけぇ、うんやんは腹の中がすっからかんになるまで許さんかったんじゃ。
とあるギャルの姉ちゃんが青ざめた顔でげろやんを吐き通した。
泣きそうになっとったけぇ、うんやんはげろやんの後にしたろうと思うてまっといてあげたんよ。うんやん、紳士じゃけぇね。
「電車の中じゃのうて良かったのぅ、ふぉっふぉっふぉ!」
そのあと、うんやんは満足げに水洗便所に流されていったんじゃ。
「今回も楽しかったけぇ、また帰って来るわ~。」
六道輪廻の旅路を楽しんだうんやんは、次は何処にいくんかのう?
まぁ冬じゃし、案外近くにおるかもしれんね。
うんやん ポージィ @sticknumber31
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