よいよまぁ
雨に流されたうんやんはそのまま下水に入ったんじゃ。うんやんの身体の一部はそのまま下水管の壁にこびり付いてカピカピになったんじゃが、一部は雨で解けてそのまま下水の汚水に溶けて旅をつづけたんじゃ。うんやんはバラバラになってもうんやんなので、うんやんの意識は真っ暗な下水を流れて、微生物に分解され、そしてまた取り込まれて、プランクトンに食べられて、藻とか苔になった。そんな感じでうんやんは輪廻の旅路を漂って、気付けばドブネズミのうんやんになってしもうた。ほいでも、うんやんはうんやんであることに変わりないんで、ドブネズミのうんやんはまた下水の中を旅する事にしたんじゃ。気が付くと、うんやんは海に出ておった。
「おぉ^~海かぁ、ええのう、久々じゃのう。」
うんやんはご機嫌じゃった。海はうんやんの故郷でもあるし、うんやん自身でもあるけぇの。漂ううんやんはそこでも輪廻を旅したぞい。魚に食われては魚のうんやんになってみたり、クジラのうんやんになった時は思わず、
「お、哺乳類やんけ。そろそろ人間道も近いのう~。」
と思った。うんやん、六道輪廻の達人じゃけぇ、はぁこういううんこになるのも慣れたもんよ。ほうじゃけどまぁ、長い旅路よ。長いようじゃけど、意外とすぐの話なんよ?命が産まれて消えるのなんか、人間の感覚からしたらホンマに一瞬の事じゃッたけぇ、うんやんはのんびりと色々な動物達の身体の中を旅し続けた。ほいだら、うんやんにもいよいよ地上に帰る日がきたんよ。
「おうおう、今度はネコポンか!これまた強烈じゃのぅ~!」
魚の一部になったうんやんは、漁協のおっさんに猫の餌にさせられて、猫のうんやんになっとったんや。猫は本来恥ずかしがり屋じゃけぇ、いつもは人目のつかんところにうんやんぶっ放すんじゃけど、この猫も腹が痛かったんじゃろうねぇ・・・この時ばかりはうんやんも海水浴場の浜辺にぶっ放されてしもうた。猫も恥ずかしいけぇ、必死に砂で埋めようとしたんじゃけど、なんか通りがかったギャルっぽい姉ちゃんが猫がおるおるいうけぇ、その猫はびっくりしてうんやんほったらかしにして逃げてしもうた。
「また人間かいな、無粋なことするのう。うんこしとる時ぐらい、そっとしといたげんさいや。」
うんやんはチョイギレしたんじゃけど、うんこじゃけぇなんもできんかった。そいだらの、そのギャルのねぇちゃん、うんやん見て汚いだの臭いだの、散々罵りおったんじゃ。
「お前何様のつもりなんや、人をクソじゃ思うて、好き勝手言いよってからに。ええ度胸やんけ。よっしゃ、みとけよみとけよ~?」
そういうたうんやん、打ち付けた波に溶けて、再び海に帰って行ってしもうた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます