おまけ……ガッツリSF(ヒント:PPAP)
地上は大変なことになっていた。
宇宙人の突然の来襲。攻撃。殺戮。
俺は、彼女の麻里を連れて地下シェルターに逃げ込んだ。
体育館程の広さしかないシェルターの中は、明らかに収容人数を超過した人間で溢れかえっていて、所々啜り泣く声が聴こえてくる。
何とか人でパンパンのシェルターに滑り込むと、非情にもシャッターが閉まっていった。間に合わなかった人が膝から崩れ落ち、絶望をその顔に表す。
とはいえ、ここも地上に比べると幾分か寿命が長引くだけで、直ぐに破壊されてしまうのは目に見えていた。
それでも人々は必死に生き抜こうとしたのである。かく言う俺もその1人なのだ。
「ねぇ卓哉、ここなら大丈夫なの……?」
「あぁ、大丈夫さ、絶対に。」
麻里の心配を和らげる為、嘘をついた。大丈夫などと言える状況ではない。
しかし、それでも良かった。一瞬でも長い間、俺は麻里と共に居たかったのだ。
「……ふふ、卓哉はこんな時でも変わらないなぁ。」
見透かしたように麻里が言った。
「優しいんだから、卓哉は。……分かってるよ、ここも危ないんでしょ?」
「……じきに攻撃が来るだろう。その時は……」
麻里の手を強く握る。震えていた。俺もだったのかもしれない。
「……ねぇ、あの話して。聞きたいの。」
「ああ、いいとも。」
あの話というのは、俺がよく麻里にしてやった話だった。事あるごとにねだられて、何度も何度も話していた。
俺は、恐怖心を忘れて話した。いつ奴等がやって来るか分からない。それでも俺は、麻里の、麻里だけの為に話した。平和な頃に戻った様な気分になる。
「ぷっ……あはは。やっぱり面白いね。」
こんな状況だというのに、俺達は不思議と、リラックスしていた。それは強がりから来るものなのかもしれなかったが、今の俺には関係の無いことだ。
「おォ、兄ちゃんら、何楽しそうにしてんだ。おじさんにも話してくれよ。」
緊迫した中、笑い出したものだから注目を集めたらしく、隣の男性が話し掛けて来た。仕方が無いのでしてやる。
「ワッハッハ。そりゃ傑作だ。ちょっとおい、こいつの話面白ェぞ。」
こうして輪が広がってゆき、終いにはシェルター全体でこの話をする羽目になった。
「……ぷっぷ、なんだそれ、あはは。」
「プッ……クスクス……アハハ……」
いつの間にか、温かい空気になっていた。ふと麻里を見ると、しばらく見れなかった大きな笑顔を見せている。
最期の時を、こうして過ごすのも悪くないな。そんな事を思っていた。笑い声がシェルターを包む。
フフ……プッ、クスクス……ハハ…………フッ…
アハハハハハ……フフフ………クックック…
プッ……プッ……アハハハ…………プッ……
プッ……プッ……アハハハ…………プッ……
プップッアハハハプッ……
プップッアハプッ……
PPAP
結局、PPAPは何が凄いのか〜技術編〜 いましん @zunomashi
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