04
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祭の後、国の住民たちは酒場で語り合っていた。
「今年もすごかったな!」「俺、凄いことされたぞ。人間の女の子に縛られた! 放置もされた!」「ふはは俺なんて魔女の格好した女の子からキャンディ巻き上げたぜ」「何? それは本当かい。僕は魔女の格好をした女の子に脅されたけど」「どうだった?」「最高だった」
「やっぱ人間の女の子ってええな……」「やっぱ人間の男の子っていいわぁ……」
「ねえ聞いて! あたし人間の男にプロポーズされちゃった!」「へえ。それでどうしたの?」「なんか石になっちゃった」「……ねえ、あんたの横の石って」「これ? うん。旦那」「…………」
「くっ……殺せ」「おい誰だよ人間の女騎士拾ってきたの。返してこい」「待ってくれオーク兄貴! その子は特別なんだ!」「特別なんだ、じゃねーよ。さっきからこいつ『くっ……殺せ!』しか言わねーじゃねーか」「そういう仮装だから仕方ないじゃないっすか」「そういう仮装は夜だけにしておけ」「…………」「くっ殺」
魔物たちの街では、年に一度だけ門を開き、『かぼちゃ祭』を開く風習があった。
ただし必要以上に人間を怯えさせないために、「魔物の仮装をしている」という体で、訪れた観光客たちを楽しませていたのだ。
いつしかその祭は人間も魔物も交えた仮装大会になっていたが、その現状を拒む者はいなかった。
むしろ楽しんでさえいた。
来年の同じ時期に開かれる門を楽しみに待ちながら、酒場の魔物たちは夜明けまで騒ぎ倒した。
かぼちゃの祭典 白石定規 @jojojojougi
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