入れ替わった自分のカバン。見慣れない中身に面食らっていると、さらに驚くことが待っていました。自分のカバンを持っていたのは、小説投稿サイトでエッセイを書いていた榊アイだったのです。
「天然すぎ」「あざとい」なんて言葉では言い表せない、宇宙人のようなアイさん。彼女の気まぐれに、八雲くんも読者も翻弄されていきます。
一緒に小説を書こう、とアイさんは言います。読み専の八雲くんにとって、コラボの誘いがどれほど大変か、アイさんが理解しているのか疑いたくなってしまいます。しかし、そんな突拍子のない誘いが、八雲くんとアイさんを大きく変えていくのです。
趣味も性格も作風も違う二人は、小説を完結させることができるのでしょうか。
不思議ちゃんや振り回され系男子が好きな方に、特におすすめしたい作品です。
読み専だった主人公が奇跡的に推し作家と出会い、なぜかコラボ小説を書くことになる。そのための疑似恋愛のはずが、だんだんと心がかたむき、やがて…!?
だが一方、主人公が書いた別の小説の書籍化の話のせいで、価値観の違う二人の間の雲行きが次第に変わっていって…。
感覚と情熱で生きるヒロインに振り回される、一見冷静で冷めた主人公とのちょっとドタバタ、ちょっとシリアスコメディ。
二人の切なくとも小説にかけた熱い想いが交錯する。
あなたもぜひ本作を読んで、そんな二人の行方に興奮し、じれったさにイライラしつつも温かく見守ってあげてください。
きっと最後には納得できる結末を迎えることができるでしょう。
読み専必読。作者も必読。
如月芳美先生の小説にかける思いを感じ、学ぶことができます!
鞄の取り違えから、投稿サイト仲間と気づき、アイからコラボ小説を書こうと持ちかけられる八雲。
振り切ったアイさんのキャラに振り回されまくる様が、面白すぎて目が離せない!
そして振り回されているはずだったのに、いつの間にか逆転していく二人の関係。物書きとしての立ち位置のズレと、疑似恋愛から発展するかも? というドキドキジレジレイライラがつのります。
実際にコラボ小説を書き、その頃に別作品を書籍化された作者と、主人公がかぶって見えて……。一体どこまで実話でどこからが小説なのか!?
作者の書かれていたコラボ小説はこちらです。
クロード葉月先生の徒然日記
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881546156
六月菜摘さんの『葉月先生の恋』と同時進行でコラボされていました。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881548812
こちらの二作も読むと、面白さが倍増さると思いますよ♪
鞄を取り違えたことがきっかけで知り合った相手は、憧れのオンライン作家だった――小説を書く人/読む人なら誰でも一度は憧れるシチュエーションで始まる恋愛小説。
ヒロインに押し切られる形で、疑似恋愛を元にしたコラボ小説を一緒に作ることになりますが、最初、主人公はそれほど乗り気ではありません。
それでもヒロインと(疑似)デートを重ね、周囲の人々とも関わり合いながら小説を書き進めるうちに、やがて執筆の楽しさに目覚め、ヒロインに惹かれていく姿がコメディタッチで描かれています。
作品を読みながら、恋人同士が愛を育むのと、複数人で協力しながら何かを作り上げるのは本質的に同じなんだなーと、改めて気づかされました。
――と、ちょっと固めのレビューになってしまいましたが、とても楽しく読みやすいラブコメですので、もどかしい二人の関係とコラボ小説がどのような結末を迎えるのか、ぜひ手に取って確認してみてください。