その目は前を見据えているか
鯨
第1話 プロローグ
暗い穴の中、怪物の叫びが冒険者たちの体を震わす。怪物は身体に無数の傷をつけ、その特徴的だった角も半ばで折れているものの目は静かに心を燃やし、目の前にいる冒険者を殺さんと瞳を殺気立てている。
ミノタウロス。
そう呼ばれている怪物は腰を低くしもうひとつのトレードマークである斧を構え、足の裏に力を溜め、急発進した。
爆発。そう表現するのが正しいその攻撃は冒険者たちの顔に焦りの色を塗り、そして、、蹂躙した。
ダンジョン。
そう呼ばれているこの場所では日常となっている光景だ。
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ギルド。この世界にすむものならば誰もが知っている、冒険者という何でも屋のような人に仕事を斡旋したり、ダンジョンでとれたドロップアイテムや魔石を買い取ったりしてくれる場所の前に僕はたっていた。
「おっほぉおおぉぉおお、スゲエエエエエ。でかいなぁ」
僕はそのギルド前で人目を憚らずに叫んでいた。うるせーぞと露天のおっちゃんが怒鳴り、怖かったのでスミマセンと小さな声で謝り、そそくさと中へと入って行く。
ギルドは喧騒で満ちていた。一角にある酒場では厳つい大剣を背中に掛けた男が今日の冒険の話を場にいるものたちにきかせ、また受付では俺と同じような腰に安物の剣を下げ、革鎧を着けた初心者らしき人が登録を行っている。僕はそこへいき、今登録をしている人の後へと並ぶ。そして順番がまわってきて…
「ようこそ冒険者ギルドダリオン支部へ!登録ですね。ではお名前と希望する職業を教えてください」
「はっはい。えと…名前はミサ。職業は剣士です」
「うふふ、そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。あ、申し遅れました私エレナと言います。今後貴方のアドバイザーとして担当して行くこととなると思うのでよろしくお願いしますね」
そう彼女がいった瞬間。ギルドがしんと静かになる。何でだろうと思い周囲を見渡しても全員がさっと目をそらす。何処からかかわいそうに…という呟きも聞こえてくる。
僕は状況を理解できずにオロオロするばかりだ。アドバイザーはダンジョンに潜るときに、そのアドバイスをしてくれる人のことをいう。誰がアドバイザーに着くのかは自分のことを気に入ったギルド職員が付くので多少差があるが、基本的にハズレはいない。
それにエレナさんは金髪に緑の瞳。髪の毛を後ろでお団子結びにし、眼鏡を掛けており中々の美人さんだ。それに…大きい。何がとは言わないが大きいので、外れではないと思うのだが…。
僕はまだその時知らなかった。なぜ心の中で無意識にエレナさんと読んでいたのかを…。
to be continue
その目は前を見据えているか 鯨 @Jotasan
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