あのド田舎は今

 私の住むのは、ただの田舎ではない。「超」が付くほどのド田舎だ。


 最寄り駅までは車で45分。最寄りの意味をSiriに尋ねたくなる。バスはアクセスが悪く、本数も少ない為、通学か、お年寄りがコミュニティバスに乗るのみ。

 そんな訳で公共の交通機関が殆ど機能していないから、電車の乗り方がよく分からない若者もチラホラ。



 そんなド田舎でも、そこそこ有名な観光地である。


 毎年の様にテレビで取り上げられ、バラエティーで、旅番組で、ドラマのロケでこんな辺境までわざわざ来る。



 以前「地元の歴史を調べてみましょう」という夏休みの宿題が出され公民館の図書室に行った。(ド田舎に図書館など有るはずなく、公民館の人に事情を説明して資料室に入れて貰った)

 本を開き茶色く変色した質の悪い紙を1枚1枚めくる。手書きで描かれた地形と添えられた文章によると、前は海、後ろは崖、南北にそびえる山々に囲まれた地域だったらしい。今も一緒だな。



 ド田舎は、住むお年寄りも、地形も、殆ど変わらない、時空さえ歪んだ竜宮城のような場所なのかもしれない。

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