金持神社と玉泉寺への御礼まいり

葵 ひとみ

第1話

季節はレンゲショウマの咲く初夏に――


私、霧島直人と親友の秀ちゃんは毎年、岡山県津山市から、

鳥取県日野町の金持(かもち)神社と岡山県真庭市の玉泉寺へ御礼まいりへ

日帰りのプチ旅行を兼ねてゆきます。


 金持神社では1年、お金にクロウせずに働けた御礼を、

玉泉寺では1年、厄を除けて健康で癌に罹患しなかった御礼におまいりします――


まず、津山市から鳥取方面へ向かいます。


 お昼は、グルメ評論家からは垂涎のまとのそば処、

真庭市「そば処 やま田」さんに立ちよります。

外観は素敵な和風家屋、庭も綺麗にされており季節の花が素敵です。


内観も素晴らしいです、庭に向かって大きなガラスサッシで庭を見渡せるようになっています。

入り口にはオーナーの出身大学、明大野球部先輩星野仙一氏直筆の暖簾が架かっています。


私は天蕎麦とそば焼酎を雲海で、秀ちゃんは夏限定のおろし蕎麦をいただきました。

8月は蕎麦の収穫の時期でお休みをされるので御注意ください。


そのすぐ近くの水車の似合うレトロな町並みに、御前酒蔵元辻本店があります。


文化元年(1804年)に勝山の地にて酒造りを始められました。

ここ勝山は、三浦藩二万三千石の城下町として栄えており、

創業当時より三浦公への献上酒を造り、

殿様専用酒として「御膳酒」の名をいただかれました。

その後「御前酒」と銘柄を改め、今に至っておられます。


備中杜氏 辻麻衣子さまは前杜氏の味「コクがあって、なおかつキレのよい酒」を

引き継ぎながらも、さらに「なめらかさ」を求めて若い蔵人さまたちと共に

日々研究に努めておられます。


酒の原材料は「米・米麹・水」。


御前酒蔵元では、地元の米にこだわり、岡山県産の雄町、山田錦といった酒造りに適した米を選び、磨き、酒を醸しています。

仕込み水は、蔵の横を滔々と流れる一級河川「旭川」の伏流水を地下から汲み上げ、使用しています。


1804年創業当時のままの酒蔵は、一部機械化されておりますが、まだまだ人の手に頼る部分が多いです。

毎年11月から翌年4月の寒仕込み期間中は、蔵人さまたちが集い、

昼夜問わず酒造りに汗を流しています。

私は岡山県産雄町米と古代製法「菩提もと」で醸したスパークリングタイプの純米酒GOZENSHU 9(ナイン)を購入しました。


途中の道の駅「メルヘンの里新庄」では蒜山高原名物の珍味「行者にんにくの醤油漬け」が購入できます。


行者にんにくの「行者」というのは、昔の仏教の修行僧のことです。

行者にんにくは、山菜または野草なので、都会に住んでおられる若い方の中には、自生している姿を見たことがないかもしれません。


しかし、行者にんにくは、すこぶるヘルシーで美味な食材なのです。

行者にんにくの呼称は、修行中の僧が滋養強壮のために、

こっそりと食べていたという言い伝えをもとに、日本の植物学者の牧野富太郎氏が、

20世紀になって付けた呼び名です。

ちなみに、修行僧がなぜこっそり食べていたかというと、修行中の人は栄養のあるものを食べることを禁じられていたからだそうです。

行者にんにくは、アイヌネギ(アイヌ語ではキトピロ)とも呼ばれています。


 遙かなるランドスケープを抜けるとそこに、鳥取の日野町に金持神社があります。


駐車場について、金持神社札所の前で、沢山の人たちが、

一億円の宝くじやLOTO6などが当たった感謝の絵馬を観てうらやましがったり

驚いたりしています。


今年は私たちはラファエロの長財布をここで開封しました。


810年出雲の神官の次男が、伊勢神宮参拝のためこの地を通りかかったところ、

お守りとして身につけていた神前の根付の玉石が急に重くなりました。

そして、この地に宮造りするよう神夢があったので、宮造りしたと今に伝えられています。

日本で一番景気の良い名字の「金持」。その金持性のもとになった地名がこの地です。

日本で金持性はここだけと言われています――


愛用して使わなくなったお財布をお祓いし、お焚き上げて頂けます。

ご依頼頂いた方には、お焚き上げの印として新たに金運を招く「金の素」を送ってくださります。


日野町を流れる日野川には、秋から春先にかけてオシドリが飛来します。

多いときには800羽以上の姿を観察小屋から間近に見ることができます。

~おしどり夫婦~と縁起もとってもいいですよね。


帰り道の真庭市の玉泉寺は真言宗のガン封じ・厄除けの御寺です。

奥内の柱に木工でできた不思議な二匹のフクロウを見ることができます。


フクロウとは「不苦労」で苦労をしないと言い伝えられています。


気さくな住職さまから素晴らしい御朱印とありがたい御話と美味しい昆布茶が頂けて、

美しいレンゲショウマの咲く奥道へも丁寧に案内して頂けます――


なので素晴らしい森林浴も体感できます。


毎年、金持神社と玉泉寺への御礼まいりが楽しみで仕方ありません。

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金持神社と玉泉寺への御礼まいり 葵 ひとみ @aoy_hitomi

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