「珈琲」が名づけられた街

葵 ひとみ

「珈琲」が名づけられた街

ここは美作の国の中心地、西日本の桜の名所でもある小さな城下町――岡山県津山市――


「珈琲」が名づけられた街です。


新し物好きの蘭学者宇田川榕菴らんがくしゃうだがわようあん氏は、代々津山藩医を勤める蘭学の名門・宇田川家と交流のあったオランダ商館長と面談した際に、初めて飲んだコーヒーに大変興味を持ちました。

そして現在、一般的に使われている「珈琲」という字を考えだしました。


宇田川榕菴は、当時の日本に概念のなかったその「酸素」や「水素」など多数の化学用語も考え出しました。


蘭学に重きを置いた津山藩の藩医だからこそ「珈琲」という字を榕菴は誕生させることができたのかもしれません。


 「珈琲」という字は、オランダ語のkoffieという発音に合わせただけではなく、

「珈」は女性の髪を飾る玉飾り、「琲」は玉飾りの紐の意味で、コーヒーの木に真っ赤なコーヒーチェリーが実っている様子を描写したとも伝わっています。

それは今でもモダンで異国の情緒を感じさせてくれます。


そして、それを私たちが味わえるのが津山市の中央にある城西浪漫館です。

その建築物は、津山市を代表する大正時代の国登録有形文化財にもなっている洋風建築です。


 興味がある皆さまは、城西浪漫館にお越しいただければ、江戸時代に宇田川榕菴が使用していたコーヒーカン

(コーヒーの煮出し器・オランダ語でコーヒーポットのことです)を復元した器具で

「珈琲」を職員の方が再現してくださり、美味しい当時のオランダを通じて日本に持ち込まれたコーヒー豆と同種のものをブレンドされた、「幕末の珈琲」を嗜むことができます。


 そしてそこでは、宇田川榕菴は、チョコレートもお好きでしたのでとても美味しいまろやかなチョコレートも味わえます。


 今、歴女に代表されるように歴史にとても興味をもたれているお客様たちが大変多いので、私が親友と訪れた直後に、カフェは満席になりましたから、お昼前に訪れる事をオススメします。



一度、「珈琲」が名づけられた街――岡山県津山市――で、

桜や枝垂しだれれ桜を愛でて「珈琲」を味わいながら大正時代とオランダという異国の情緒を感じてみませんか?

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「珈琲」が名づけられた街 葵 ひとみ @aoy_hitomi

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