満天の、落ちた星をしとりと拾う。

youQ

未完成の世界のかたち

●はじめに


 これは、私が『世界観』というものを作る際に何を考えているか、どう発想しているかをできるかぎり仔細にアウトプットしようと試みたものです。

 どうしてそんなことをしたかというと、後で自分で自分の発想法を改めて見直したいためです。

 そういう発端があるものなので、そもそもひとつの文章としての様を為していません。読んだところで誰かの役に立つかとかそういう事柄は一切度外視して書いていますが、1人の創作者の考えとして「こんな視点もあるのか」程度の面白さはあるかもしれません。

 どうしてカクヨムに載せたかというと、そういう目的でもない限りわざわざ文章化することもないなーと思う程度に怠惰だったためです。

 そういうこと、ありませんか。……ありませんか。


 なお、作った世界観については未だ利用の目途が立っていません。

 1ページTRPGでも作ろうかしら……。



●最初に、ひとつの神話を作る


「流れる星に願いを託したら?」

「その星が、本当に願いを叶える力を持っていたとしたら?」

「願いを託した人間が、そのとき、とても悲しくつらい状況に置かれていたとしたら?」


 ――夜空に輝く無数の星が、すべて落ちてしまえばいい。

 ――空はまっくらになって、わたしの心と同じになればいい。


 斯くして、夜空に煌めく無数の星は、次々と少女の住まう世界へと落ちていきました。

 大地は変わり果て、数え切れないほどの生き物がその命を落としました。


 願いを叶えた少女はといえば、自分の願いがもたらした結果に恐れおののき、はらはらと涙を零しました。

 それは尽きることなく流れ落ち、大地を満たし――。


 やがて、この世界は、どこまでも水に覆われていきました。

 真っ暗な夜、水底深くでは、無数に落ちた星の欠片がちかちかと光り、ぼんやりと世界の輪郭を浮かび上がらせます。



●神話から膨らませる、世界の機構


・太陽は存在している。昼は明るく、夜は月のみが輝く空。

 月の光に照らされ、星の沈む水底も輝く、幻想的な夜。月のない夜は水底だけがぼんやりと発光する。

 季節の移り変わりはあるのか? あるとしても紅葉などのぱっと見でわかる変化ではなく、気候や潮の流れ、渡り鳥の群れなどで感じるものではないか?


・地表のほぼすべてを水に覆われたこの世界で、人間が暮らすのはどこなのか?

 →人工的に作られた陸地 or 船などの移動手段を生活の場にする


 以上の点を踏まえると経済流通の中心点は大きな浮島?

(メガフロートのようなもの?)

 個人の小さな船や大規模な船団がそれを移動することで、物資の流通や情報伝達が行われている。


 また、人間以外の生き物については、「わずかに残った陸地に暮らすもの」「水上生活のため進化を遂げたもの」「鳥など、空を主な生活圏とするもの」「水中生活をおこなうもの」「人間が飼育する各種家畜」に大別されると考えられる。

(鳥を使った情報伝達の手段も用いられている?)


・エネルギーについて

 落ちた星が輝いている=エネルギーを有している→サルベージの手段が開発される


 拾い上げた星が、この世界の主なエネルギー源である。

 そのため、水底の星をサルベージすることで生計を立てる人々が存在する。個人~大規模。

 また、星の持つエネルギーを各種燃料などに転化する研究開発も盛んに行われている。星で動力を賄う船や、小型の飛行船なども開発されているのでは??

 食料や物資と共に、星もまた盛んに取引される商材である。一攫千金を狙う若者の憧れの職業になっている?


 星はエネルギーに転用されたのち、僅かに残った力を使って空へ打ち上げられる。

 そうして打ち上げられた星は再び夜空に浮かび、徐々に光を蓄えていくも――また、輝きと共に水底へと落ちていく。

 世界が流転するしくみ。

 たった1人の少女の願いから始まったと言われる、星の循環。


・世界に落ちた星について

 世界の水底に沈んだ星は、実は夜空に浮かんでいたときと同じ星図を描いている。

 だが、星が落ちる前の記録のほぼすべてが水に沈んでしまったため、正確な星図を知ることは困難。

(時おり星のサルベージを行う際に発掘され、宝の地図のような扱いをされる?)



●今後、作り込むべき箇所について


・社会的集団について

 ある程度大きな規模の「国家」は成立しているのか? しているならどのような仕組みで成り立っているのか?

 メガフロートの規模、水上の国境線を規定する方法、統治者の成り立ち。


例:最も安定している国家は大規模なメガフロートによる王都を持ち、周辺水域に監視塔を浮かべ、兵士を常駐させている。外から来る船に対して検問所のような役割も果たしている。

 大型メガフロートを持つ国家なら、土を敷き、農地として利用することで大規模な畑作が可能?

 →穀物や野菜など、陸地がなければ作れない物資は国の中から外へ輸出される?

 →反対に、外から中へ持ち込まれる主な物資は、「星(=エネルギー源)」「その他、サルベージされた旧時代の遺物」「遠い海で採れた珍しい海産物」などでは??


・いつまでも「星」という呼び方では寂しいので、特別な名称を設定したほうが良いのでは?


・星を用いたメカニクスについて。どれくらいの科学技術を設定するべきか?

 特に、「空」「飛行」について。パラグライダーなどの、風を利用した装置の補助としての役割は持たせるとして、それ以上の大型機械を製作しているか、作ろうとしている集団はいるか、など。

 →そんな集団がいたら、一歩間違ったら戦争になるのでは……という物語的な火種の可能性


・旧時代の文明についてのアプローチ

 仮に、水没から1000年を設定するとして、旧時代の遺産や文明に、現在の物語時間の時点においてどれほどの価値があるのか?

 今は存在しないエネルギー源で利用されていたメカニクスを、星を利用したメカニクスに転用、改造するなど?



●仮に、1ページTRPGに利用するとして(あくまで仮のもの)


・プレイヤーの目的

 船団を構成する一員になり、星のサルベージを目指して冒険する


・シナリオ上の障害

 「航路で出現する敵対生物」「船の故障などのトラブル、ハプニング」「星を引き上げる行為自体の難易度」


・プレイヤー側の技能

「船の装備、スキル」「プレイヤー自身の装備、スキル」「優れたプレイング」


・どこに「世界を楽しませるための味わい」を持たせるか??

 最初からシナリオに人助けなどの目的を持たせる、最後に星を夜空に戻す(打ち上げる)場面を設ける……など

 →星を打ち上げ、夜空に戻すことそのものをサルベージ屋の目的にしてもいいのでは? ある意味、崇高な目的。



●そして、星を落とした少女は……


 今も、どこかで涙を流し続けているという。自身の起こした、取り返しのつかない事態に怯えて。

 涙――水はどこからか生まれ続け、ゆっくりと世界を侵食し続けている。

 ここは言わば、ゆるやかに崩壊へと向かう世界なのだ。


 けれど、誰かが彼女を見つけ出し、手を差し伸べることができたら――彼女の心を救うことができたら?


 それは、ひとつの物語の終わり。



●最後に


 これは、本当に、発想を、思い付いた順序で書き出していったものです。

 いまだ不完全なかたちのものであるため、もし誰かがこれを参考になにかを作ったとしても、私の考えているものとはまったく別の、その方の持つ味わいを生かした作品になると思います。なので、ありのままを公開しています。

 ただ、私が覚書のために作っただけのものですが、もし、面白いと言って下さる方がいらっしゃいましたら。

 感謝を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

満天の、落ちた星をしとりと拾う。 youQ @youQ

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ