架空請求をしてくる詐欺会社に架空の架空請求をされた振りをして電話をかけてみたら、身に覚えがなくて混乱しながらも必死に対応して架空の架空請求をされた話

春永永春

架空請求をしてくる詐欺会社に架空の架空請求をされた振りをして電話をかけてみたら、身に覚えがなくて混乱しながらも必死に対応して架空の架空請求をされた話



 

プルルルルル、プルルルルッ

ガチャッ



俺「あ、もしもし……」


詐欺会社の人「お電話ありがとうございます。こちら代行収納サービスのエイブルプレジャー(でっちあげ社名)の坂口でございます。本日はどういったご用件でしょうか」


俺「あのー、なんか請求メールが来てたので書いてあった番号に電話してみたんですけど……(非通知で)」


社「未払い金のお支払ですね。ありがとうございます(よっしゃカモキター!)。まずはお名前、お電話番号、ご住所の方をお願いします」


俺「いや、そもそもこの請求、身に覚えがないんですけど」


社「そういったことも含めましてご利用状況を調べさせて頂きますので、お名前とお電話番号、ご住所をお願いします」


俺「は、はあ……。それじゃあ、佐藤慎太(偽名)、電話番号は03-3590-XXXX、住所は東京都、豊島区、池袋○○-△△(嘘)です」


社「ありがとうございます(カタカタ)(カモのリストに登録完了)。それでは佐藤様が受信したメールの文面を読み上げて頂けますか?」


俺「えっ、名前とかで調べられるんじゃないんですか?」


社「こちらは代行サービスですので、たくさんの会社の回収業務を扱わせて頂いております。同じお客様が複数のサービスを利用されている場合、検索結果が重複してしまう可能性がございますので、絞りこみのためにご協力お願いします」


俺「はあ……それじゃえっと、『月額300円からもしもに備える!お申込みはインターネットで簡単!ヤホージャパンのらくらく自転車保険』あ、これ違うやつだ」


社「……」


俺「すみません。えっと、『こんばゎ~♡ 突然のめぇるごめんなさぃ。。。じつは、ゆゆかの悩み聞いてほしくて。。。さいきん、からだがウズウズしちゃって仕方ないの。。。(キャッ♡)ゆゆかのピーーに、あなたのピーーをピーーしてほしくて』」


社「(よくあるエロ系の釣りメールかな?)はいはい、なるほど」


俺「あっ間違えました。これうちの嫁からのメールだ」


社「(お前の嫁すげえな!?)ゴ、ゴホン。ええと、受信した請求メールの方をお願いします」


俺「はい。あ、これです、今回は間違いないです。『いつも当サイトをご利用頂きありがとうございます。無料体験期間が終了した8月1日より、当サイトの利用料金が支払われていないためご連絡を差し上げました。延滞金は108,000円となっております。ただちにお支払、またはご連絡を頂けない場合、裁判所を通じた法的措置を取らせて頂きます。株式会社プレジャープロジェクト』」


社「ありがとうございます。少々お待ちください」


社(そんな内容のメール打ったっけ……? まあいいか、適当に話合わせて請求しよう)


社「はい、確認いたしました。そうですね、プレジャープロジェクト様のサーバーに佐藤様のご登録履歴が残っておりまして、無料体験期間が過ぎても解約がなかったため利用料金が発生しております」


俺「そんなこと言っても、俺このゲームやってないですよ? それに10万円とか高すぎませんか?」


社「(あ、ゲームサイトって設定なのか)登録後の解約がなければ利用中とみなされますので、ご利用料金を支払って頂くことになります」


俺「そんな……そもそも、俺は『美脚天国』なんてゲームに登録してませんよ!」


社「(アダルトゲームかな?)そう言われましても、データ上にはしっかりと佐藤様の登録履歴がございますよ。本当に心当たりはございませんか?」


社(ふふ。エロ系のコンテンツは、男なら誰しも思い当たるフシがあるはずだ。心当たりがあるから電話してきてるんだろうし)


俺「……確かに、昔ちょっと気になって色々調べた記憶がありますけど」


社「おそらく、その時に無料体験に登録されたのだと思います」


俺「にしたって10万円は高すぎるでしょう!」


社「アダルト系のサービスは高額になることが多いですので」


俺「アダルト系?」


社「はい」


俺「『美脚天国』は競走馬の育成ゲームらしいんですが」


社(ふざけんなよ! 何だその紛らわしいタイトルは!)


社「……け、『競馬』もアダルトのサービスに含まれております」


俺「そうなんですか」


社「では、料金のお支払は振りこみでよろしいですか?」


俺「待ってください。まだ納得してませんよ」


社「遅くなると、どんどん延滞料金が増えていきますよ。証拠はあるので、お支払頂けなければ法的手続きを取ることになります。お勤め先やご両親、それから奥さんのご実家にも迷惑がかかりますよ。いまお支払頂ければ、サイトの解約の手続きもこちらで行っておきますので」


俺「……でも、今月ちょっとお金ないんですよね。嫁の『ゆゆか』からも料金請求されてるし」


社(それ嫁じゃねーよ! あんた騙されてるよ!)


社「ら、来月のお支払になると、延滞料金が追加されて16万2千円になります。金融機関から借り入れてでも今月支払ってしまった方がお得かと思いますが」


俺「……ん? すみません、今更なんですが」


社「どうされました?」


俺「ここの電話番号って、XX-XXXX-4545ですよね」


社「はい、そうですが」


俺「すみません、番号間違えてました。この請求メールに書いてある番号、XX-XXXX-2525なんですよ。別な会社みたいです」


社「(!?!?)すみません、少々お待ちください」


社(違う架空請求会社からのメールで、うちに間違って電話してきたのか? どうりで身に覚えがない架空請求なわけだ。……うーん、あとひと押しだし、逃がしたくないな。ここまで話を合わせてこられたし、強引に乗り切ろう)


社「お待たせいたしました。当社の管理している複数の電話番号のうちのひとつのようです。ですので、そちらのお支払もこの電話窓口で受け付けることができます。ご安心ください」


俺「はあー、そうなんですか」


社「それで、今月お支払頂けるということでよろしいですか?」


俺「あっ、すいません嫁が帰って来たのでちょっと切りますね」


社(ゆゆか実在すんの!?)


社「ちょっと待ってください、話は終わってませんよ! もしもし! もしもーし!」



ガチャッ

プー、プー、プー……



社「クソッ、舐めやがって……。でも色んなとこから詐欺られてるカモっぽいし、しつこく電話したり住所に凸ったら楽勝だろうな。とりあえずかけ直してみるか」



プルルルルル、プルルルルッ

ガチャッ



社「もしもし? 佐藤さん、あんたねえ」


店「お電話ありがとうございます! こちらハナマルピザ池袋店です! ご注文をどうぞ!」


社「……」


店「……」


社「あの、こちら佐藤さんのお電話ですよね?」


店「いえ、当店はピザ屋ですが」


社「……」



ガチャッ

プー、プー、プー……



社「……この仕事、やめよう」



 

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