そのネコミミは愛する人のため!

初恋の少女に「大嫌いっ! ネコになっちゃえ!」と幼き頃に呪いをかけられた主人公・カット。
かくしてこの若い王は、ネコミミを隠し通す日々を送るのだが……。

気になる小説というものは、冒頭でまず読者を強烈に惹きつけてくる。
今作の場合だといきなり「ネコになっちゃえ」と呪いをかけられるシーンだ。
呪いでカエルになるのなら分かる。醜い姿のカエルはよく呪いで変身させられる定番だ。
でも、ネコになれという呪いは少なくとも自分は聞いたことがない。
何故ネコなんだ? ていうか、ネコになるのは呪いなのか? むしろモフモフなネコになるのは祝福なのではないのか?
単に作者の好みなだけなのかもしれない(七割方そうだと思うw)
でも、何かしらここに深い意味があるのかもしれないと読み続けていたら……。

おー、なんと、そう来たか!

タイトルの元ネタである『王様の耳はロバの耳』の王様は「自分の耳はみんなの話がよく聞こえるようにロバ耳なんだ」と隠していたロバ耳を告白した。
では、カットのネコミミは一体何のためなのか?
それはひとことで言えば「愛ゆえに」である。
カットのネコミミには多くの人の「愛」が詰まっている。
中盤から終盤、そして大団円後にも続く真のハッピーエンドに向けて物語が高まる中、どうか読者の方々も自分の中にある心のネコミミを立てて、この物語が奏でる素敵な音を楽しんでほしい。

そしてともに叫ぼう。
「みんなー、『王様の耳はネコの耳』、これ絶対に読むべきだぞー!」
って。



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