それは自らの常識を揺るがす出会い

病や競争を徹底的に排除し、平等と健康と幸福が普遍的なものとなった世界。
それらに違和感を抱く少年が、"少し変わった"少女との出会いによって、それまでの価値観を見つめ直し、そして運命は動いてゆく……。

練り上げられたSFであると共に、瑞々しいきらめきを持った青春小説です。
主人公の二人が海へ向かう場面の高揚感が印象的でした。
そして、全てが覆る最終話と、ちょっぴりくすりとくる幕切れ。
さらに冒頭から読み返すと、あちらこちらに張り巡らされた伏線におおっと驚かされました。

幸福とは何か?
読み終えたらきっと、自分の常識を疑ってみたくなるはずです。

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