鬼機神 傀儡狩り(ききじん くぐつがり)

拾捨 ふぐり金玉太郎

本編

 四宝界しほうかいクァズーレに南の大陸ガルダあり。ガルダで最も大きな国のひとつが、モア王国だ。

 中央は人族の天下であるが、その大きさ広さゆえ田舎町ともなれば人外の異類も跋扈する。


 ここヒバリ村も多分にもれず、しばしば冒険者も立ち寄る街道沿いの集落とは言え村からひと度離れれば丸腰で歩くことはままならない。


「ああ……あ!」


 香草集めに精を出すあまり、少女は不注意にもいつもより深く森に立ち入ってしまった。

 結果として、彼女の目の前に巨木と背比べができるほどの大鬼オーガが現れたのは不運と言う他ない。だが、必然めいた不運でもある。


 オーガの壁のような掌が少女を掴んでから、殺すでもなく手にした麻袋へと無造作に小柄な体を放り込んだことは、この少女がむしろ幸運であることの証左とさえ言えよう。



 ヒバリ村は片田舎の集落ながら冒険者も立ち寄ることもあり、村ではこじんまりとした宿屋が営まれていた。

 宿屋が道具屋と酒場も兼ねているのは規模の小ささゆえだ。


 そして、余所からの客もまばらな昼間は、地元の者達の集まる場所コミュニティとして機能している。


「いらっしゃい――お客さん、頭ぶっつけないように気をつけてな」


 店主の中年男は、入ってきた客を見るなり驚き半分心配半分の声をかけた。

 この宿に訪れる客の殆どは人外跋扈の地をさすらう冒険者。その多くが屈強な男達である。


 冒険者を見慣れた店主でも、たったいま身をかがめて店に入ってきた者ほどの“大男”はそうそうお目にかかることはない。

 身の丈3メートルに達しようかという大男だ。上下を包む黒くつややかな革の服はしなやかさ且つ逞しい肉体のラインを隠しもしない。

 ジャケットの胸元からは赤銅の素肌がのぞく。


 この辺りでは珍しい赤い肌にダークブラウンのドレッドヘアを襟足まで伸ばした――“少年”だ。長身を見上げた先にあった彼の顔立ちは未だあどけなさも微かに残る少年の相であった。


 彼は果たして人の類か。それとも異類のくちか。いずれにせよ、こうしてカウンターに座ったからには客に違いない。


「何にする?」

「ジュース」

「アカウリを絞ったやつでいいかい」


 カウンターに座った大男は返事の代わりにカウンターへ数枚の貨幣を置き、店主も小さく頷き棚からタンブラーを取り出した。

 ほどなくして供された真っ赤なジュース。大男は小首をかしげ、隣に置かれた小皿を指差す。


「頼んでない」

「ああ、サービスだよ。この村の名物、花蜜団子だ。気に入ったら土産にでも買っていってくれ」


 白く半透明な薄皮の中に黄味がかった蜜の入った菓子が二つ、小皿に並ぶ。

 店主に勧められるままに男は赤銅の指を伸ばす。小ぶりな団子を右手の人差し指と親指でつまむと、いきなり破れた半透明の薄皮から蜜があふれて男の掌を汚した。


「薄皮が柔らかいんだよ。そっと持たなきゃ破れちまうんだ」


 しぼんだ団子を口に入れ、控え目な甘みを舌に感じながら二つ目の団子に指を伸ばす。

 団子はまたしても彼の指に押しつぶされ、再び掌に蜜をまとわりつかせた。


「アンタ、そうとう不器用だな」


 カウンターの向こうで店主が苦笑いするのをよそに、大男は蜜を舐めとった右掌を革ズボンに無造作になすりつけた。



 黙々とジュースをあおる男と店主以外に客のまばらな昼下がりの酒場には緩やかな空気が流れている。

 そこへ突然音を立てて扉が開け放たれれば、店内の視線は一点に集中する。


「チュチュが魔者マーラにさらわれちまった!」


 視線の先には、十代前半と思しき栗毛の小柄な少年が血相を変えていた。

 彼が酒場に入ってくるなり叫んだ言葉で、酒場の空気は完全に切り替わっている。

 魔者マーラとは、この世界に跋扈する異類の総称である。それにこの少年の幼馴染みが連れ去られたと言うのだ。


「おいピータ。落ち着いて説明しろ」


 肩で息をする少年ピータは、店主に促されて所々で息継ぎをしながら一気にまくし立てる。


「あいつが出かけたって言うから森へ探しにいったら、悲鳴が、聞こえてっ、家よりもデカい魔者マーラがチュチュを袋に入れていっちまったんだッ」

「家よりデカいって、オークにしちゃデカすぎるな。もう少し詳しく覚えてないのか。どんな姿だった?」

「亜人だ。真っ赤な体で、頭から一本ツノが生えてた。あれはオークなんかじゃない!」


 少年が口にした魔者マーラの特徴を聴いた冒険者風の客が、誘拐犯の正体を察して青ざめた。


「ボウズ、そいつはきっとオーガだ」

オーガ……」

「この辺にウロついてるオークなんか比べ物にならないような怪物だよ」

「そんなのがどうしてモアに出るんだ?普通はずっと北の方にしか居ない筈だぜ」


 帯剣した男の仲間らしき外套をまとった男が言い、何らかを小声で囁き目配せを交わした。


「な、なあ、兄ちゃん達は冒険者だろ!?チュチュを助けるの手伝ってくれよ!頼むよ!!」

「無茶言うなよ。こっちはオーガとやり合うような準備はしてきてないんだ」

「悪いが心中に付き合う気はない」


 二人の冒険者は少年の懇願をにべもなく断ると、そそくさと席を立ち足早に店を出て行った。

 進んで異類の縄張りに踏み込む彼らとて自殺志願者ではない。想定外の危険が潜んでいると判れば、そこを徹底して避けようとするのは冒険者なればこそだ。


「ピータ、相手は『神隠し』だ。その辺のゴロツキじゃあ束になったって敵いやしない」

「じ、じゃあどうすんだよ!?」

「王国に連絡して討伐隊を送ってもらう。オーガってのはそれくらい大事おおごとだ」

「そんなの、いつになるかわかんないじゃないか!」

「……そう、だがなあ」


――『神隠し』の正体がオーガと判っただけでも、チュチュの犠牲には意味がある。


 その言葉を引っ込めるだけの情が、店主の胸中にもあった。


「……俺達だって辛いんだ、ピータ。だけどな」

「おい。『神隠し』ってなんだ?」


 店主の言葉を遮ったのは、今まで無言でジュースを呷っていた大男だ。

 ジャケットの袖で口をぬぐってから、金色の両目を店主にじっと向けてくる。


「この村の近くに山があるだろ。そこでは天資シングの欠片が採れるんだ」


 天資シングとは、この世界に“降って湧く”正体不明の『宝物もの』を総称した名である。

 実態は様々な機能を有する摩訶不思議な道具だ。特別視される所以は、その構造も、構成している美しい半透明の物質も、今の人族には造り出すことは不可能なことにある。

 構成する物質を砕けば必ず正六角形の均一で美しい破片になり、希少性も相まって貨幣として利用されている。


 明らかな『異物』でありながら今や人びとの生活に密着し、世界中いたる所から出土し漂着する天資シングは、『天からの賜り物』だと信じられている。


「だけど十年ほど前から、山へ天資シングを掘りに行くことはできなくなった。今じゃ『鉱脈』はオーク達のモンだ」

「とられたのか」

「いや、オーク程度ならどうにかなっただろうが、そうじゃないんだ。『神隠し』が出るようになったんだ。山に近付き過ぎた者は、行ったきり帰って来れない。そんなことが続いて、いつの間にか誰も山には近付かなくなったのさ」


 『天資シング』と耳にしてから、目の前の男はいっそう食い入るように店主を見つめ話を促す。

 ドレッドヘアを一切揺らすことなく「他に知っていることを教えろ」と無言のプレッシャーをかけてくる。


「いままで、『神隠し』は山に棲むオークの仕業だと思われてたんだ」


 店主の話の続きはピータと呼ばれた少年が紡いだ。いつの間にか、昼下がりの酒場には彼ら三人だけしか居なくなっている。


「あいつら変なモンを拝んでるんだよ」

「拝んでる?」

「あいつらの身につけてる飾りには、絶対に『首のない戦士』が彫られてるんだ。村に来る冒険者たびびとも、この辺りのオークは気持ち悪いって言ってる。あいつらヘンなんだ」


天資シングの鉱脈。神隠しのオーガ。首のない戦士」


 大男はカウンターに肘をついて手を組み、店主とピータが話した情報を反芻するように口の中で繰り返す。


「……『山の洞窟』までの道は?」


 彼の問いを耳にして、ピータは表情を明るくし、店主は顔をこわばらせた。


「一緒にチュチュを助けに行ってくれるのか!?」

「用があるのは『神隠し』の方だ」

「お、おいおい!今の話、本当に聞いてたか?アンタも相当デカいが、オーガはその倍はあるって話だ。一人で突っ込んでどうにかなる相手じゃあ……」


 体格差は三回りほどあるが、カウンターに座る大男はピータとそれほど変わらぬ少年であろう。

 店主には、目の前の二人はどちらも勢いに任せて無謀な危険をおかそうとしているようにしか見えなかった。


「知ってるよ」


 どうにか思いとどまらせようという中年男の思いを知ってか知らずか、大きな少年は朴訥に言葉を返す。


「俺も、半分オーガそうだから」


 店主は事も無げに言ってのけた彼から半歩後ずさった。


――ハーフオーガ。

 巨体だけでなく風貌出で立ちの異様さも、そうだと言われれば納得できる。

 納得でき過ぎることがいっそ不自然に感ぜられるほどだ。


 言葉を失う店主を見て、これ以上会話を続ける必要無しとばかりに席を立って背を向け、ハーフオーガの少年が人間の少年を見下ろす。


「おい、ピータ」


 突然名前を呼ばれ、少年は意図を察せず硬直する。その反応の理由が理解できないようで、“大きいほう”の少年が小首を傾げた。


「ピータって言うんだろ?名前」

「あ、ああ」

「ピータ。ついてくるつもりなら、お前を利用させろ」

「利用……?」


「作戦だ」


 最低限の言葉しか発しない彼は、どうやら他人と話し慣れていないようだ。

 だが前のめりに気持ちが急いているピータは、彼のまっすぐな眼差しを覗き込むことで、語らずとも気持ちが伝わってきたような気分になった。


「よし……わかった。俺を利用しな。俺も、利用させてもらう。アンタを」

「キハヤだ」

「え?」


 唐突な言葉の意図は、またしても少年には伝わらず。


 ハーフオーガの少年が腕組みをして繰り返したところで、ようやく先の言葉が“自己紹介”であることを理解した。


「俺の名前は、キハヤだ」



 ピータ少年は、幼馴染が連れ去られた村外れの森林で彼女と同じようにまったくの無防備で徘徊を始めた。

 少しばかり知恵の回る者であれば、この少年が釣り針を忍ばせた囮であることはたちどころに判るだろう。

 緊張と恐怖に顔を強張らせながら、まるで兵隊の行進のように手足を大袈裟に振り歩く姿は、不自然どころではなかったのだ。


 役者としては三流も三流――だが、捕り方も相応であったらしい。


 青々と葉を繁らせる木々の幹ごとかき分けて、巨躯の鬼が現れた。

 鬼――『神隠し』のオーガは、逃げも抗いもせずその場に立ち尽くすピータを片手でつまみ上げ、何の疑いもなくもう片方の手に持った袋へ放り込む。


 然る後、どことなく明瞭な意思を欠いた単調な動きで踵を返し来た道を戻り始めた。


(ここまでは、手はず通りだ)


 草木の間に巨体を忍ばせていたキハヤは、自らの倍はあり見失いようもない後ろ姿を追う。尾行開始だ。


 決して平坦ではなく所々に朽ちた枝葉や苔むした石がある山道を、キハヤは一切の物音を立てずに進む。

 団子ひとつ満足に掴めなかった者と同一人物とは思えぬ、巧みな脚さばきであった。



 『神隠し』追跡の先には、洞窟の入り口が在った。

 一軒屋ほどあるオーガの巨体がゆうに出入りできる洞穴は、よく見れば木材による補強がなされており何者かの手が入った坑道であることが窺える。


 坑道はまったくの一本道であった。単調で虚ろな足運びで前を往くオーガから少し間合いをとって追うキハヤ。


 大男達の歩みにしておよそ五分。金属製の柵扉に隔てられ、やや開けたドーム様の空間に辿り着いた。

 

 そこはある種の神殿の体をなしていた。

 薄暗い洞窟をくりぬいた空間の中央は広くスペースが設けられ、円陣を囲うように松明の火がゆらめく。


 その奥に。粗野な仕立ての神殿の奥に『本尊』は座す。


――オーガですら見上げずには居られない大巨躯の鎧武人が、剣の柄に両手を預け洞窟の最奥に鎮座している。

 武人は全身を明灰色の鎧で覆いながら、兜はつけていない――もとより、兜をつけるべき頭そのものが存在しなかった。


 この地のオークが信仰するという『首のない戦士』の像が、決して充分とは言えない光源に照らされていた。


「もう“二人目”を捕らえてきたのか。随分早いな」


 『神殿』の中心に立つ、全身を黒ずくめのローブで隠した男がオーガの帰還を迎える。

 男の傍らには生贄を捧げる祭壇がある。祭壇とは、ある“装置”であった。ヒトの首と両腕を固定し、頭上からまっすぐに刃を落とす野蛮装置――ギロチンだ。


 そこに据えつけられていた少女の姿を目にするや、オーガに首の根を掴まれたピータの脳髄に血がのぼる。


「チュチュ!」

「あ……ピー、タ……?なに、やって」

「助けに来たんだ!」

「捕まっちゃってるじゃない!」

「へへ、作戦のうちだよ」


 少年は、生きて再会できた幼馴染みの少女に微笑んで伝える。

 だが、どこからか出てきたローブの大男達に体を縛られながらでは「助けにきた」という言葉も虚しい響きしかない。


「まずはこいつ。次にこいつだ」


 少年の言葉にはまるで関心を示さず、最初から居たローブの大男が少女チュチュとピータを順に指差す。

 然る後、普段から採掘に使っているのであろうピッケルを取り出し、杖のように首無し武人へとかざした。


「これより我らが神に生贄をささげる!」


 生贄。その言葉に目を泳がせた少年少女の視界に、“見なければよかったもの”が映り込む。

 首無し武人像の座からほど近い神殿の片隅にうずたかく積み上げられた、白い山――人間の白骨だ。

 その全てに頭蓋骨が存在しないのは、決して偶然ではあるまい。


(あいつら……あいつら!!)


 僅かな物陰からこの歪な神殿の有り様を観察していたキハヤは、こみ上げる激情に視界が白む心地がした。


 首無しの偶像に生首を捧げるという非道に激してではない。

 いま、キハヤが我を忘れそうなほどに昂ぶっているのは、人間の『運び役』であるオーガの額に生えたツノに奇妙な装置が埋め込まれていることに気がついたからである。


 身を隠していた扉を蹴破る。鉄で出来た柵が紙くずのようにひしゃげてもぎ取れて、洞窟に金属音を響かせた。


「おう、腰抜け共」


 蹴り足をそのまま踏み出し、祭壇へ向かいのしのしと歩くキハヤが吐き捨てる。


「待ってたぜ、キハ……ヤ?」


ピータは、乱入してきた彼の雰囲気口調が酒場で会話していた時のそれとは異なることに気付いた。


 キハヤの吐き捨てた『腰抜け』なる言葉の意味するところは、首無しの像に生贄をささげる行為だ。

 

 ローブの男達が神の如く崇め奉っているかの像は、その実、神などではない。紛れもなく天資シングであった。


 像の正体をたちどころに理解できるキハヤは、その内側に微弱なエネルギーが循環していることをも察知している。

 目の前の天資シングは、機能を辛うじて維持できる程度の待機エネルギーだけを与えられているのだ。

 そうすることで、自己再生するかの像の構成部材は半永久的に再生し、延々と金子きんすを生む鉱脈でありつづけるのだろう。


 そして、“そうしなければ”。完全復活した『首無し』はあらゆる生物のエネルギーを貪り喰らう怪物と化すであろう。


 からくりが理解できるからこそ、ローブの男達を『腰抜け』と呼んだ。キハヤの胸を焼く怒りは、揺るぎない。


「“それ”はテメエどもがケチな小遣い稼ぎをする為の道具じゃねえ」


 ハーフオーガの少年は、不可思議の塊である筈の天資シングの本質をいとも容易く見抜き、饒舌な啖呵を切ってみせる。

 数刻前の彼を知るピータは彼の豹変に絶句し、ローブの男達もまた自らの所業が何の前触れもなく看破されたことにうろたえた。


 乱入者のただならぬ気配を察知してか、神殿の壁面数箇所に隠された出入り口から黒ずくめの大男が続々と這い出してくる。

 彼らは皆、槍や斧、大鉈など思い思いの不揃いな得物を手にキハヤを取り囲んだ。


「殺せ」


 最初から居たローブの大男――おそらくこの一団の長であろう――が、右手を軽く挙げた。

 指図に従い、今の今まで柱のように突っ立っていたオーガが動く。角の根元に打ち込まれた小さな装置はこの中心部が微かに発光しているのを、キハヤは見逃さなかった。


(脳の髄まで食い込んでやがる。ひと思いにやってやるしか無いな)


 大木すら見下ろすオーガが、丸太のような右腕をキハヤめがけて振り下ろす。

 石造りのドームに風船の爆ぜた音が響いた。


 オーガは振り降ろした右腕を引き戻し、虚ろな眼で自らの手首がへし折れていることを確認した。


「あいつ、なにをやったんだ!?」

「何も見えなかった……だが、あいつの格好を見ろ。きっと“蹴った”んだ!」

「ただの蹴りでオーガの腕をへし折ったのか?」


 使役する鬼が曲者を一撃の下に叩き潰すことを信じて疑わなかった黒ずくめの男達が、口々に困惑の声を漏らす。

 彼らの視線が集まるハーフオーガの少年はいつの間にか片足立ちに構えていて、挙げていた左脚のつま先を静かに石畳へ下ろした。

 振り下ろされたオーガの拳に対し、何者の眼にも留まらぬ速度で左の回し蹴りを放ち終えていたのだ。


 驚きも恐怖も感じていないのは当のオーガだ。残った左拳をかため、最初の命令を忠実に実行すべくキハヤへと踏み出す。


 対するキハヤは二倍の身長差を逆手に取り、無音の足捌きでオーガの懐まで潜り込んだ。

 ちょうど目の前に踏み出されていた鬼の左膝にローキック。側方からの衝撃に、頭上にある上半身が傾いた。


 同じ場所へ追撃。更に追撃。崩れた体勢を立て直すこともままならないオーガの片足を執拗に攻める。

 10秒と経たず、鬼は大地を踏みしめることが出来なくなった。


 前のめりに倒れこむ巨体を前に、キハヤは丹田から一気に息を吐き頬を膨らませる。


 次の刹那、跳躍。同時に、既に限界まで矯め終えていた全身のバネを解き放つ。


 右脚の描く円弧がびゅん、と鋭く風を切る。

 音が耳に届いた時、既に鬼の首は胴体から切り離されていた。かくして、長年ふもとの村を脅かしていた『神隠し』はいとも呆気なく打ち首と相成ったのである。


 地響きを立て倒れ伏すオーガに周囲の男達は息を呑み、静寂。

 それを破ったのは見苦しく慌てた『長』の男の声である。


「ひ……怯むな!いけ!いけ!」


 傀儡としていたオーガを容易く屠られ、切り札をあっさりと失った男がとった行動は仲間を捨て駒にすることだった。

 命ぜられた者達は雄叫びを上げキハヤに殺到するが、足取りには僅かに躊躇いが見て取れる。


 キハヤはキレた。


「ナメとんのか、おぉ!?タマとるつもりならテメエで動かんかい!」


 キハヤは怒声一番、踏み込んできた一人の大男が手にする槍の穂先を蹴り上げ、立て続けに黒布に包まれた顔面に踵を打ち込む。

 解けたローブの中から出てきたのは緑色の肌に不細工な造作の顔面だ。


 踵落としを“もろ”に受けた魔者マーラ亜人『オーク』が、反り返った鼻から赤紫色の血を噴出しながら仰向けに倒れた。


「気に入らん!何もかも気に入らんが、一番気に入らんのはテメエらオーク風情がオーガをアゴで使ったことだ!」


 同族なかまが一人犠牲になったことで、オーク達もやる気になった。

 黒のローブを脱ぎ捨て、革褌の緑肌を荒々しく躍らせて、何本もの槍と斧とツルハシとがハーフオーガの少年を狙う。


 殺気を一身に浴びたキハヤの口端が僅かに吊り上り、赤銅の肉体は宙を舞った。

 ヒトの身を遥かに凌駕する筋力と、魔者マーラをも圧倒するわざで、キハヤの足刀は一陣の旋風となってオークの頭上を吹きぬける。

 風に巻かれた生首は宙を舞い、緑の巨体が折り重なって肉塊と化した。


 首を刈ったオークの肩を踏み台に宙返りを決めたキハヤが、未だ頭上で放物線を描く最中の生首にオーバーヘッドキック。

 オークの首は軌道を変え、神殿の奥に座す首なしの像めがけて飛んでいく。


 首なし像の、本来であれば頭があるべき『首の付け根』には穴が開いている。キハヤに蹴飛ばされた生首が『首の穴』に放り込まれると、像の全身にあしらわれた帯状の紋様がうすぼんやりと発光した。

 それを見たオークの長は青ざめた。


「や、やめろ!そんなことをしたら……」

「“どうなるのか”分かってるみたいだな、テメエ。“俺も”分かってんだ」


 長の反応を見て、キハヤは不敵な笑みを浮かべた。つま先を巧みに使い、足元に転がっていた生首をリフティングし始める。

 先ほど屠ったオーガの首である。オーク長の緑の肌がさらに血相を変える。


「やるならとことんまでやろうや!」

「お前らーッ!“生首くび”をこれ以上『戦士の像』に入れさせるなァァァ!」


 生き残っていたオーク達は前衛と後衛に別れ、首なし像を守る陣形をとった。


 キハヤが次に足を置いた生首を奪い取ろうと、前衛のオーク達が巨体を滑らせる。強烈なスライディングだ。

 踵を使って自らの背後に生首を蹴り上げ、同時に自分も跳躍して前方三方向からのスライディングタックルを回避。

 生首をドリブルして歩を進めるキハヤに第二第三のオーク守備陣が喰らいつくも、時に繊細、時に大胆なドリブルテクニックに翻弄され、ついに首なし像の足元付近まで接近を許した。


 生首を巨像の首元へシュート。山なりの放物線を描き飛んでいくオーガ頭部。

 急いで駆けつけたオーク守備陣、渾身の跳躍。空中で肉壁をつくり、生首の軌道を遮るつもりだ。


「甘いんだよ!」


 ブロックに入ったオーク達の小さな眼が驚愕に見開かれる。

 たった今地上から生首を蹴り放ったばかりのキハヤが、既に自分たちより高く跳躍し目の前に迫っていたのだ。


 空中で右足の甲が円を描く。オーク達の頭上をかすめた鬼首は、像の首穴へとまっすぐに叩き込まれた。


「なんという……なんという事をォ!?」


 オーク長が悲鳴混じりの叫び声を挙げる。


 視線の先に座す首なし『戦士の像』が、オーガの生首を捧げられたことで異変を生じていた。

 全身にあしらわれた紋様の光りは先ほどよりもはっきりと青白く輝く。

 同時に巨大な鐘の音をうねらせたような異音をもって鳴動し、物理的な振動が洞窟神殿を揺らし始める。


 像に生じた変化と恐慌状態に陥ったオーク達を眺め、白い歯を見せ笑みをつくったキハヤは、不意に表情を平時に戻して視線を足元へと送った。


「ん、忘れてた」


 足元には、ギロチン台に据え付けられた少女と、体をグルグルと縄で縛られた少年が居た。


 ギロチン台を蹴り砕き少女を解放。

 少年の縄は結び目をうまく解くことができなかったので力任せに引きちぎった。


「ガキども。オマエらは用済みだ。っとと去ね」


 共に勇ましく踏み込んだ筈の少年は、その場にへたりこんで呆然とキハヤを見上げている。


「ピータ、ほら、立って!ここ崩れちゃうよ!」


 先に捕まっていた少女はキハヤに頭を下げ、手を引いて立たせた少年と共に出口へと走っていった。



 少年少女が洞窟から脱出して間もなく、凄まじい地鳴りがして洞窟の入り口は瓦礫に塞がれた。


「あ、あの人、逃げられたの?」

「わかんねえ。オークと一緒に生き埋めになっちまったのかな……?でも、俺たちじゃどうにもできないし」


 ともかく村へ戻ろう。そう言って洞窟であった場所から背を向けたピータは、目の前に立っていた者を見て仰け反るほどに驚いた。


「キハヤ!?」

「私たち、いつの間にか追い抜かれてたの?」


 ピータとチュチュが口々に驚きと感嘆の声をかけてくるが、キハヤは何も答えない。

 言葉はおろか、目線ひとつ合わせることはなく。代わりに彼が見据え、関心と注意を集中させていたのは落盤した洞窟の真上に位置する山の斜面である。


 一度は落ち着いたかに見えた地鳴りが再来。

 一瞬足元が激しく揺らいだと思えば、鼓膜を直に打つ轟音と共に山肌から光の柱が立ち上った。


 光の柱は周囲の木々を消し飛ばして大地に大穴を穿つ。

 そこから這い出してきた者が視界に入るにいたり、キハヤの顔面が狂喜と呼ぶべき歓喜に歪んだ。


 出現したのは巨人。山のオークが神と崇めた『首のない戦士像』が、命を得たかのごとく動作うごいている。


輝機神ルマイナシング……!」


 オーガなど比較にならぬ巨大。その威容を見上げる少年の口から、知らずのうちに言葉が漏れる。


輝機神ルマイナシング』――不可思議宝物たる天資シングの中でも、格別の存在。人智を超えた巨体。人智を超えた能力ちから。具現化した超越者。それが、それらが、『輝機神ルマイナシング』。


「誰か助けてくれ!」


 遥か頭上から何者かのわめく声が聞こえてくる。

 声のする方には、首なし戦士の明灰色の鎧。その襟元を必死に掴む腕が見えた。オーク長だ。因果の報いか、どうやら崇めてきた神に喰われかけているらしい。


 腕に力を込め、緑肌の老オークが巨人の首穴から這い出してくる。

 その時、既に降りた夜のとばりに映える青白い光が首なし巨人の体表で帯状に瞬いた。


「ぎゃあ!」


 一度はこのまま逃げおおせるかと思われたオーク長の姿が、悲鳴と共に首穴の底へ消える。あたかも何かに突然足を引っ張られたようであった。


 体表の発光が収まると、『首なし』は手にした大剣を両手で構え、ぴたりと静止。


 意図を察したのはキハヤである。


「エモノを探しているな!お望み通り出ていってやる!」


 言って、黒革のジャケットを脱ぎ捨てる。露になった赤銅の上体は怒張しているかのようだ。


「狩るのは俺で、狩られるのはテメエだがな!!」


 ハーフオーガの少年が天に吼えた時、ヒトと魔者の合の子の肉体が、咆哮に応じて変化を開始した。

 背中から数にして十の巨大な目玉が葡萄のように浮かびで、ひとつひとつがぎょろりと動く。


 異変は彼の遥か頭上、天空の彼方にも起きていた。

 大きな星の瞬く夜空に、月よりも大きく眩しい光のが顕現し、その中心から虹色の光束を大地に降らせる。


 虹の光を浴びたキハヤが体を丸めてそらに跳ぶ。

 彼の全身はたちまち形状シルエットを歪め、三本の角と十の眼を持つ巨大な鬼の頭部こうべと化した。


隕蹟着装アームドメテオ!!」


――キハヤの変じた鬼の首。天より集う星光が、鬼の咆哮こえ聴き巨躯となる――


「キハヤトゥーマ!!」


 まとった光の繭を打ち払い、鬼形の輝機神ルマイナシングが名乗りをあげた。



 星空の下に顕現した鬼機神。闇の中にあってさえ輝く漆黒の装甲よろいは時に淡く赤い炎模様を浮かび上がらせる。

 キハヤの全身が化身した三本角の鬼首はあぎとの中に十の眼を備え、装甲と真反対の白いドレッドタテガミが後方にたなびく。


「アームドメテオ接続完了コネクテッド。キハヤトゥーマ、戦闘開始コンバット


 男とも女ともつかぬ声がキハヤ――『輝機神キハヤトゥーマ』の脳裏に響く。

 ハーフオーガの少年キハヤは、巨木すら膝下で蹴散らす輝機神ルマイナシングそのものになっており、超常超越の機械巨人が有する感覚は総てあるがままに感じることができるのだ。


 キハヤトゥーマの十の眼から、赤と緑の光条レーザーが放たれる。首無し輝機神の鎧を光点が這うと、キハヤの脳裏に次々と言霊データが浮かび上がる。


「普及型白兵戦用自律駆動兵器『デュラハン・タイプ』――有機体を分解し駆動元素を得る“旧型”か」


 その情報は、クァズーレの者にはおよそ知りえないものだった。

 キハヤトゥーマは、対峙した輝機神ルマイナシングの概要仕様を、ただ視線を投じただけでたちどころに読み取り終えたのである。


 突如顕現した敵手の特異さを知ってか知らずか、首なし輝機神ルマイナシング『デュラハン・タイプ』は行動を開始。

 地の利ある斜面の情報から、手にした大剣を横薙ぎにフルスイングした。


 鬼神はバックステップで斬撃をかわす。十数メートルはあろうかというキハヤトゥーマの巨体は地響きひとつ立てず山肌に着地。

 追撃するデュラハン・タイプの縦斬りは、体を右に捌き空振りさせた。


 再び至近距離から放たれた大剣の薙ぎ払いに対し、キハヤはその場に突然倒れこむように体勢を低くする。


「シュ!」


 ドレッドタテガミの先端に刃がかすめるも、回避は成功。同時に左足で大地を削ぎ取るような足払いを刺し込んだ。

 打ち込み直後の隙と斜めになった地形が仇となり、デュラハン・タイプは前のめりに転倒。


 明灰色の無防備な背中にすかさずストンピングで強襲する。首無し鎧は間一髪でたいを横に転がし追撃を逃れ、仰向けの体勢で苦し紛れの薙ぎ払いを放った。

 ストンピング中に飛来した斬撃であったが、すぐさま軸足で大地を蹴り後方宙返りで回避。


 つかず離れず、一足一刀の間合いを維持して着地を決め、転倒から復帰したデュラハン・タイプとキハヤトゥーマは互いに臨戦の構えをとり直した。


「おう、かかってこいや自律駆動型オートマータ!」


 突き出した右腕の指先をしゃくるように動かして挑発すると、明灰色の装甲に光が滲み首無し戦士が突っ込んでくる。


 首無しが一度斬り込むたびに、キハヤトゥーマはそのすべてにカウンターをあてていった。

 袈裟斬りが来れば屈んでかわし、勢いで片手を地に着け回し蹴り。列車が衝突してくるかのような突きは斜め前方へ大きく体を捌いて応じ、回避の動きを予備動作として後ろ回し蹴りをわき腹へ見舞い。


 星空のもとで繰り広げられる剣と脚の戟戦は、ひとつの舞いにすら見えた。だがその実は、狩人を名乗る鬼神の圧倒劇であった。


 幾度目かの足刀が明灰色の鳩尾を突いたとき、遂に首なし巨人が大剣を取り落とし地に膝をついた。

 両膝だけでなく両手まで大地に突き、懺悔するような体勢ポーズをとるデュラハン・タイプ。


 観念したのか、降参か。


 そう見えたのは輝機神ルマイナシングが人型をしているがゆえの効果であろう。

 だが、キハヤトゥーマの対峙する“これ”は人間でも魔者亜人でもない。


「ただの機械は、懺悔なんてしない!」


 キハヤトゥーマの額に位置する三本角のうち、両脇の角が視覚では捉え切れないエネルギーの流れを察知していた。

 エネルギーはデュラハン・タイプの体内を巡り、奥底の見えぬ首穴に凝縮していく。


 然る後、ビーム。


 地に伏せた首無し戦士から発射された極太の光線が漆黒の蹴鬼を焼き尽くさんとする。


「魔力光線!中にミミックが潜んでいたか!」


 放たれる前から敵の不意打ちを察知していたキハヤは対手の切り札を難なくかわした。

 角と眼が分析した情報を受け取り、オーク以外にもこの輝機神ルマイナシングを“寄生主くいもの”にしていた魔者が居ることを知って臓腑を煮やす。


「どいつもこいつも……やることがセコいんだよ!」


 輝機神ルマイナシングデュラハン・タイプは依然体勢を変えず。一つ覚えに魔力まりきをめぐらせ、首穴に禍つ光を蓄える。


 キハヤトゥーマは地面とほぼ並行に低く鋭く速く跳躍。目視あたわぬ程のその速度、疾風の如く。

 対面より光束ビーム第二射放たれる刹那、大地に四肢つく巨神の首穴に鬼神の右足が押し当てられた。


「土下座に心がこもってねえぞ!!」


 首無し鎧像の首穴よりあふれ出す魔光は、不可視の力場をまとわせた右足に押し込まれる。

 行き場なき力の圧力は密閉された鎧の体内へと充ち満ちて――爆ぜた。


 青白い火花を体の節々から噴き出して、首無し巨神は今度こそ大地に倒れ伏す。

 伏した巨体のはるか頭上に異変。キハヤトゥーマを顕現させた光の環が再び星空の真ん中に姿を現した。


 環の中心から降り来る虹色の光束。今度はキハヤではなく力尽きた首無し輝機神を包み込んで降り注ぎ、巨大な鎧戦士は空に引き寄せられるがごとく夜空に浮揚する。


同胞はらからよ、星に還れ!」


 キハヤトゥーマが身を屈め、両腕で大地を叩く。逆立ちの体勢をとった鬼機神は、ゆっくりと上昇を始めた頭上の首無しめがけ腕力で真上へ跳躍。

 上方向へのドロップキックが巨体を蹴り上げ、彼の言葉通りに機械の骸は天空の彼方、光の環の中心へと連れ去られた。


戦闘終了コンバット・オーバー――」


 天地たがえた跳躍を両脚の着地で締めくくったキハヤトゥーマの鬼巨体も、頭上から注ぐ虹色の光を受け星空に霧散した。


――それからキハヤという名のハーフオーガが何処へ行ったのか。


 奇妙な静寂と共に取り残された少年少女に知る由もなく、ただただ立ち尽くすばかりであった。



 幼馴染みの少女を見事救出した上、五体満足で生還したピータ少年は村の者達が集う酒場の中心に迎え入れられた。


 あのキハヤと言うハーフオーガの少年が『神隠し』を屠りオーガの群れに大立ち回りを演じたこと。

 最後には輝機神ルマイナシング同士の一騎打ちが繰り広げられ、見事黒幕の首無し戦士を討ち果たした後いずこかへと去っていったこと。


 村人や偶然居合わせた客たちに今見てきたことの顛末をありありと騙る少年は、一夜限りの英雄気分を味わっていた。


「そのキハヤって奴、ウワサの“勇者”ってのかもな」


 聴衆の冒険者がぽつりと漏らした言葉を受け、酒場は一層の盛り上がりを見せる。


――天資シングを使う魔者マーラを探して討伐している者が居るらしい、とは近頃界隈で仕事をする冒険者達の間で囁かれる噂であった。


「そういえば、ギルドの連中で似たような奴を見たって話、聞いたことあるよ。本当に居るもんなんだな、勇者って」


 酒場に集まった男達は勇ましい伝説の実在に酒の勢いも手伝ってどんどん高揚していく。


「神隠し事件も解決したし、万々歳だな!」

「なあおい、この酒場、『勇者の立ち寄った酒場』とか言って客寄せできるんじゃないか!?」

「そりゃいいな。ゲン担ぎでやってくる客が居るかもしれない」


 大人たちは舞い上がった気分で大いに沸き立ち、少女救出と厄が払えた祝いにかこつけて単なるバカ騒ぎを開始した。


 そんな男達と、相変わらず喧騒の中心で御輿に乗る幼馴染みの少年を見て、チュチュはひとりため息をつく。


(勇者……勇者、ね。ホントなのかな、それ)


 酒場の皆は勇者だ救い手だと喜んでいるけれど、『彼』は本当にそういうモノだったろうか?


 少女だけが気付いていたのだ。


(あのキハヤって人、私たちのこと全然見てなかったじゃない)


 それだけのことが疑問符になってチュチュの胸にひっかかる。

 ただ一人の少女だけが抱いた疑問符の鉤こそ、たしかな真実の一端である。


 そして、勇者と呼ばれたキハヤがまるで人びとを見ていないなら、彼を勇者と呼ぶ人びともまた同じくキハヤのことなど見ていないのだ。


 少女はもう一度だけ小さなため息をつき、これから夜を徹して宴の続くであろう酒場をあとにした。

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鬼機神 傀儡狩り(ききじん くぐつがり) 拾捨 ふぐり金玉太郎 @jusha

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